「国宝」がアカデミー賞の舞台へ、アニメに加えて実写でも成果を出すソニーグループ、「日本国内だけで終わるものではないものを作りたい」

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(写真:ブルームバーグ)

ソニーグループのエンターテインメント事業のけん引役として、実写邦画という伏兵が現れた。音楽部門傘下のスタジオが手がけた映画「国宝」は、実写邦画として歴代首位の興行収入を記録。米アカデミー賞国際長編映画賞などで候補を絞り込んだショートリストにも残った。仕掛け人の1人で、同スタジオの村田千恵子氏は世界でも受け入れられる映画だと自信を見せる。

歌舞伎役者として芸に身をささげた男性の一生を描いた同作は、国内での興行収入が173億円を超え、22年ぶりに過去最高を更新。配給する東宝の業績にも大きく貢献した。10月以降、台湾や韓国など海外市場でも公開が始まり、26年初めから全米で本格展開を予定する。

企画・プロデュースはミリアゴンスタジオ

国宝の企画・プロデュースに携わったのがミリアゴンスタジオだ。23年に買収を経てソニーGに加わった。ソニー・ミュージックエンタテインメント傘下でアニメやゲーム事業を手がけるアニプレックスの完全子会社で、漫画原作の実写映画「キングダム」シリーズの佐藤信介監督らも所属する。

エレクトロニクス製品の製造メーカーからエンタメ企業へ転身したソニーGは、今ではゲーム、音楽、映画の3事業で年間営業利益の約7割を稼ぐ。映像分野では、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)によるハリウッド映画や、アニプレックスが制作するアニメーションが柱だ。

実写邦画分野はこれまで比較的存在感が小さかったが、SPEの日本支社が24年公開の映画「グランメゾン・パリ」の製作委員会に参画し、配給に携わるなど実績はある。海外市場でいかに受け入れられるかが、今後の事業拡大の鍵を握る。

ソニーGの陶琳最高財務責任者(CFO)は11月11日の決算説明会で、国宝は映画「鬼滅の刃」とともに魅力的な知的財産(IP)の発掘と、優秀なクリエイターによる制作力を掛け合わせてIP価値を高めた事例だと言及した。

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