「国宝」がアカデミー賞の舞台へ、アニメに加えて実写でも成果を出すソニーグループ、「日本国内だけで終わるものではないものを作りたい」
ソニーのDNA
長年映画業界に身を置く村田氏は、SPEでの勤務経験もある。国宝成功の背景は、ものづくりを祖業とし、「クリエイターに近づく」ことを重視するソニーGの姿勢があると振り返る。
小説が原作の映画作品でヒットが少ない中でも、アニプレックスの上司に掛け合ったところ、承認が下りたという。村田氏は、同社にはチャレンジングな企画を応援してくれる企業文化があり、「才能に労力と資金をかけることによって、それがきちんとクオリティーに反映されるものづくりというものを理解している」と話す。
ソニーGの十時裕樹社長は日本経済新聞のインタビューで、国宝の製作に難色を示す声や、アニプレックスが実写映画に取り組むことについて渋る声もあったと明らかにしている。ただ最後は現場を信じてゴーサインが出されたようだ。
ソニーでの勤務経験もある早稲田大学ビジネススクールの長内厚教授は、従業員が所属組織の事業領域にとらわれず、自由闊達(かったつ)に仕事を進められる環境があったと指摘する。国宝がアニプレックスから生まれたのも「いかにもソニーらしい」と述べた。
クリエイターに還元
ミリアゴンは設立からわずか2年で大きな成功体験を作ったが、今後も世界に向けて作品を送り出していく覚悟だ。村田氏は「日本国内だけで終わるものではないものを作りたい」と意気込む。
村田氏はベンチマークとしている会社を問われると、「愛の不時着」などのヒットを出した韓国のドラマ制作会社「スタジオドラゴン」を挙げた。
スタジオドラゴンはドラマがヒットすれば脚本家などクリエイターがもうかるスキームを作るために設立された点を引き合いに、「クリエイターに還元できること。それは1番やりたいこと」だと目を輝かせる。
著者:古川有希、Mayumi Negishi
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