距離が伸びても縮んでも…箱根駅伝5区が「最重要区間」であり続ける理由。《「山の神」も誕生》山が生む「劇的で残酷なドラマ」

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箱根駅伝5区
山に挑戦する選手たちの必死の走りがドラマを生む箱根駅伝5区(写真:アフロ)
新春の風物詩として、数々のドラマを生んできた箱根駅伝。そのなかでも、勝敗を左右するといわれるのが往路の「5区」です。小田原中継所から箱根の芦ノ湖までの20.8キロ、山上りの5区がなぜ重要だと考えられてきたのか、スポーツジャーナリスト・佐藤俊氏の著書『箱根5区』より一部を抜粋、再編集してご紹介します。
【箱根2区のドラマもご覧ください】
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この山には魔物が住んでいる

「高校野球の甲子園には『魔物がいる』とよくいわれますが、箱根の山もそうですね。平地区間にはない何かが起こる雰囲気を山には感じます」

そう語るのは、神奈川大学駅伝チームの大後(だいご)栄治前監督だ。5区は、歓喜や感涙に包まれる映画のようなシーンも、慈悲のない悲劇も起こる。だから人は、その劇的で残酷なドラマに見入ってしまうのだろう。

箱根駅伝の往路、復路の関東地区の平均視聴率(最高視聴率は第97回箱根駅伝で、往路は31.0%、復路は33.7%)は毎年、リリースされているが、区間ごとの視聴率は公表されてはいない。

もし明らかになれば、往路は5区がいちばん高いと予測する。箱根駅伝の年代別視聴率は、40代、50代が中心だが、コアなファン層は朝からテレビの前から動かない。

ライト層はお正月休みなのでのんびり起きて、たまたま放映されている箱根駅伝をぼんやり見始める感じだろう。山に挑戦する学生たちの必死の走りが画面越しに伝わってくるので、ついつい見入ってしまう。

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