ところが、その国で生産したり輸入したりするモノは少しずつ増えていくのに、お金の総量が変わらないと、反対にお金の価値が上がる。そうするとお金が貴重になるため、人々はお金を使いたがらなくなる。
その結果、経済全般的に商品とサービスの価格が下がり続けるのだが、これを「デフレーション(デフレ)」と呼ぶ。
インフレになるようにしくまれている
デフレになると物価が下がり、人々はモノを安く買えるようになる。
ところが、物価が下がりつづけると、人々は待っていればもっと値段が下がると考えるため、消費を控えるようになる。1000円で売っている商品が少し待てば900円に値下がりするとしたら、今すぐにその商品を買う理由がなくなるからだ。
そのため、急いでいないかぎり消費を後回しにするようになる。
そうすると、全体的な消費が減って企業の収益が減り、企業は投資と雇用を減らさなければならなくなる。
それに伴って失業率が増え、家計の収入も減る。経済の成長が止まってしまうのだ。そのため、各国の中央銀行は物価が下がりつづけて経済が縮小することを決して望まない。
だから、すべての国は商品やサービスが増えるのに合わせてお金を発行しつづけざるを得ない。国はこれからもお金を発行しつづけ、貨幣価値は下がりつづけるということだ。
日本でも2015年に590円だったそば1杯の値段が、2025年には1杯720円に値上がりしている。そのうち、1000円を払ってもそばを食べられない時代が来るかもしれない。
つまり、わたしたちが暮らしている資本主義社会では、お金の価値が下がりつづけるようにできているのだ。このように、お金の価値が下がって全体的なモノの値段が上がることを「インフレーション(インフレ)」という。
ただ、経済成長にともなって物価が2~3%上がっていくのは自然なことで、いい兆候だ。
安定したインフレになると、人々は「物価が上がるからもう少しこの商品を買っておこう」と考えるようになる。そうすると、企業の収益が上がって雇用が増え、一人ひとりの所得が増えて、経済が成長する。


















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