「最後まで飼えないなら飼うな」という正論が招く"弊害"――"高齢者がペットと仲良く暮らす社会"に必要な取り組みを獣医師が解説

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しかし、すでに4分の1の世帯が「65歳以上のみの世帯」である日本。保証人を立てられない世帯も多いでしょうが、こうした世帯に譲渡を認めない方針は、動物たちの譲渡先を大きく狭めてしまいます。

確かにリスクはありますが、必ず飼えなくなるわけではありません。

健康に長生きする人が増えている中で、まして60代であれば、大人の保護犬猫(5歳〜10歳)を迎え入れても、最後まで飼いきれる可能性の方が高いといえます。

また、保護団体や保健所、愛護センターで年齢を理由に譲渡を断られた高齢者が、ペットショップで子犬や子猫を購入するというのはよくある話です。子犬や子猫は当然ながら成犬や成猫よりも寿命が長く、高齢の飼い主が飼育放棄に至るリスクは高まります。

つまり、65歳以上・保証人を立てられないという理由だけで一律に譲渡を断ることは、保護犬猫の譲渡の選択肢を狭めるだけでなく、高齢者が年齢の見合わない子犬・子猫購入してしまうことを助長しかねません。

誰もが持つ「飼育放棄」のリスク

そもそも、「絶対に最後まで飼う保証がないなら飼うべきでない」という考え方を厳密に適用するならば、誰もペットを飼う資格はないということになってしまいます。

人生は思いどおりにはなりません。終生飼育を目指していても、さまざまな事情によりそれが実現できないことがあります。若者であっても事故や病気、生活環境の急変など、ペットを飼い続けられなくなるリスクは誰もが抱えているものです。

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年齢に比例してリスクが高くなるのは事実でしょう。しかし、健康寿命には大きな個人差があります。「○歳以下はOK、○歳以上はNG」と年齢で線引きできるものでしょうか。

年齢で一律に高齢者を排除し、「飼いたくても飼えない」「飼いにくい」状況を作るのは果たして正しいことなのでしょうか。

飼い主1人が最後まで飼いきることが「終生飼育」ですが、すべての飼い主が終生飼育することは現実的には不可能です。超高齢社会が進む中、飼育できなくなるリスクの高い飼い主は増え続けています。

一方で、個人個人がペットを飼育して幸せになりたいと願うことを止めることはできません。ペットを愛する人だからこそ、人生の最後までペットとともに暮らしたいと強く願っています。

リスクがあるからといって、その願いを一律に否定することはできないと、私は思います。

奥田 順之 獣医師

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おくだ よりゆき / Okuda Yoriyuki

獣医行動診療科認定医/ぎふ動物行動クリニック院長/特定非営利活動法人人と動物の共生センター理事長。犬猫の殺処分問題の解決を目指し、2012年NPO法人を設立。犬と人の関係性改善に向け、ドッグ&オーナーズスクールONElife設立。2014年ぎふ動物行動クリニック開業。スクール全体で年間約3800組(のべ数)の犬と飼い主の指導を実施。行動診療では、年間約100例の新規相談があり、トレーナーと連携した問題行動の治療を行っている

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