「キャンセルする理由はない」 それでも日本に来る中国エリートのホンネ。総資産10億円超え《超富裕層》の彼女が今も日本を選ぶワケとは

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インバウンドは自国で行っているので、言語対応には苦労するが、売る場所からビジネス習慣まで慣れている。また、世界的なパンデミック(こちらもカントリー・リスクともいえるが)以外、訪日外国人客数がずっと右肩上がりなので、「お客さんの数が増え続けている」という感覚できていた。

一方、外国人観光客は、海外に行くので、行き先のカントリー・リスクを注意深くウォッチしている。デモの影響が自分の観光や移動にもあるか、治安も不安だ。自分が行ったら襲われないか。為替の変化が激しくて予算オーバーしないかなど、いろいろと考慮している。

したがって、海外からの観光客を相手にしているので、海外の情勢、彼らが暮らしている社会環境、価値観が彼らの日本観光に影響をしていることに留意する必要がある。日本にずっといると、「鈍感」になってしまうが、インバウンドは立派な国際ビジネスなので、もっと相手の国、相手のことを知っておくとよいであろう。

躊躇なく来日する富裕層「キャンセルする理由はない」

その中で、カウントリー・リスクを念頭に置きつつ、躊躇なく予定通りに来日する富裕層もいる。今回一例を紹介する。

Aさんは上海に居住する40代前半の女性だ。外資の監査法人に勤め、コーポレート部門のリーダーをしている。上海出身で中国の名門大学、イギリスの大学院を卒業し、エリートのキャリアパスを歩んできた。本人はもちろん高給取りで、上海市内の絶好地にある複数件の不動産や家族で運営している資金もあり、ざっと計算して10億円の資産を持つ独身貴族である。

今回の来日は、シンガポールに移民した大親友と数年ぶりの女子旅である。大親友のBさんは、Aさんの幼馴染で家庭環境はAさんよりも豊かなようである。Bさんのご両親は改革開放政策の恩恵を受け、小さな貿易会社からスタートして成功した。子供に「最高の」教育を受けてほしいと、2000年代に一家でカナダに移住した。

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