ホームドア増設で変わる「電車のデザイン」 路線別のラインカラーが車体上部にも

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ホームドアの普及で車両のデザインに変化が現れているのは首都圏だけではない。大阪の市営地下鉄も同様だ。大阪市交通局によると、2006年に開業した今里筋線の車両から、ホームドアを意識して窓上にもラインを配したデザインを採用。

谷町線の新型車両30000系(写真:ミヤゴハチ/PIXTA)

2009年に谷町線に登場した新型車両30000系では窓上にラインを入れるとともに、車両両端の戸袋部分には大きく号車番号を描いた。

同線は今のところホームドアを設置していないが「将来的な可動式ホーム柵の設置を見越して」(大阪市交通局)のデザインだ。

このデザインは、2011年に御堂筋線に導入された同型の30000系はもちろん、新車だけでなく各線の従来車両にも採用され、中間更新(リニューアル)の際に変更が進んでいる。堺筋線の66系電車にはデザイン上、もともと窓上に茶色のラインが入っていたが、リニューアルの際には他の車両と同様、戸袋部分に号車番号の数字が入り、窓上のラインも従来の茶色からオレンジ色に変更。「よりわかりやすいデザイン」(大阪市交通局)にした。

山手線の新型車両にも採用

いま話題を呼んでいるあの車両も、ホームドアを意識したデザインを採用している。11月30日から山手線に登場する新型車両「E235系」だ。当初は液晶画面に切り替えて廃止するとしていた中吊り広告が一転して存続となるなど、デビュー前から注目を集める存在だが、外観も従来の車両から大きく変わった。ユニークな前面のデザインだけでなく、側面の配色も大きく変わり、帯状のラインを横長に通したスタイルから、ドア部分を縦方向に色分けした形になった。ホームドアの存在を踏まえたカラーリングだ。

山手線は現在、全29駅のうち20駅でホームドアを設置済み。最近のJR東日本の発表では、今年度中に神田・上野・日暮里の3駅でも使用を開始し、今年度末までには大規模改良を行う新宿など6駅を除く23駅に設置が完了する予定だ。E235系が山手線の主力となるころには、さらに設置駅数が増えている可能性が高いだろう。

塗装の不要なステンレスやアルミ製車体の普及といった「素材」の変化や、時代の流れとともに変わってきた電車のデザイン。これから普及がさらに進んでいけば、ホームドアの存在がいろいろな面で電車のデザインを変える要素になっていくかもしれない。
 

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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