ホームドア増設で変わる「電車のデザイン」 路線別のラインカラーが車体上部にも
東京メトロ副都心線・有楽町線を走る「10000系」。副都心線の開業に備えて2006年に登場した電車だ。丸みのある先頭部が印象的なデザインだが、この10000系以降、東京メトロの電車の「色」に関するデザインに少し変化が起きた。窓より上、屋根の付近にもラインカラーの帯が入るようになったのだ。
それまで東京メトロの電車は、丸ノ内線を走る02系を除けばラインカラーの帯は窓の下だけに入っていた。
02系は赤坂見附駅のホームで隣り合う銀座線と同じ銀色のアルミ製車体のため、ホーム上が混み合うラッシュ時にも丸ノ内線であることが見分けられるよう窓上にも赤いラインが入ったが、その後の他線の車両には波及していなかった。
だが、10000系では車体の上部にもラインを追加。それまで東京メトロの車両では車体中央の窓下にあった車両番号も、ホームドアによって隠れない戸袋部分の目線の高さに移した。
「路線識別帯(ラインカラー)を車体上部に配置して、見やすいようにした」(東京メトロ)デザインは、その後の東京メトロの新型車に踏襲され、車体全体を黄色くラッピングした銀座線の新型車両1000系は「車体色で識別できるため」(東京メトロ)として採用していないが、東西線の15000系、千代田線の16000系に採り入れられている。従来車でも、副都心線・有楽町線を走る7000系、千代田線の綾瀬~北綾瀬間を走る05系は窓上にもラインを入れたデザインとなった。
東京メトロは全線へのホームドア設置を目標に掲げている。今後新造する車両についても「ホームドア設置を想定したデザインで検討する予定」(東京メトロ)という。
都営は配色の重心が上半分に
都営地下鉄の車両デザインにも同じ傾向が見られる。全駅にホームドアを完備している大江戸線に今年4月に登場した新車、12-600形2次車は、ホームドア越しでも新型車両であることがわかるよう、従来車両と変わって窓の周りにラインカラーを大きく配したデザインを採用した。
2013年に新宿線に登場した新型車両、10-300形3次車も、従来の新宿線車両が窓下に黄緑色のラインを入れていたのに対し、窓上に太い黄緑色の帯を通すとともに戸袋にも斜めのラインを入れた。
一方で窓下のラインは細くなり、配色の重心が車体の上半分に移ったといえる。新宿線は2019年度中の完了をめざし、全駅にホームドアを整備する予定だ。
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