「実家の隣の住宅が売りに出ていたのを父が購入、大学卒業後地元に戻って就職した私が住んでいたのですが、半年ほどで退職。アルバイトをしようと訪れたバーがちょうど内装工事中で、オーナーがセルフビルドをしているという。一人でも店は作れるんだと知ってびっくり。自分もそんなことがしたいと手伝わせてもらいました」(風間さん)
その後、住んでいた家をカフェに改装しようと考え、バーのオーナーに倣ってセルフビルドをスタート。半年かけて一応の姿にしたところで開業にこぎつけた。
駅から遠い住宅街の路地の奥というロケーションで、しかもSNSのある時代ではなかった。鹿沼ではまだカフェすら一般的ではなく、周辺からは「こんなところに店を出しても人なんか来ない」とさんざん言われたそうだ。
鹿沼は宇都宮からJR日光線で10数分の距離にあり、鹿沼の人たちの消費の場は宇都宮。宇都宮で買い、食べ、遊んできたのだ。だが、風間さんは地元に宇都宮にない店があれば人は来ると考え、開業後もこつこつと7年に渡ってDIYを続けた。
親に払う家賃5万円と自分の食費だけ稼げればよいと客と会話をし、宇都宮のバーで「鹿沼の分かりにくい場所に面白いカフェができたらしい」と他人ごとのように噂を流し、フライヤーを置いてもらい……。
「迷いながら来てください、と伝えたのが興味を引いたのか、面白がって訪ねてくれる人が増え、1年ほどで客が来るようになり、気がつくと徐々に周囲に他の人も店を出すようになり、路地は根古屋(ねこや)路地と名付けられ、人気スポットになっていました」(風間さん)
鹿沼の銀座通りから盛り上げていく
以降、少しずつ空き家の所有者からの相談を受け、使いたい人とのマッチングなどに関わるようになり、2020年には地元の仲間たちとまちづくり会社DANNAVISIONを立ち上げた。鹿沼の中心商店街である銀座通りを中心に地域の価値を上げていこうというのだ。
鹿沼は日光東照宮造営時の貯木地として、職人たちの居住地として、日光例幣使街道(東照宮に向かう勅使が通行)の宿場町として栄えた。銀座通りはまちのメインストリートとして大店が並んでおり、歴史を感じさせるような建物も少なくない。
その銀座通りで2020年に風間さんたちが取得した物件に蔵が付いていた。通りに面して元々は呉服店だった建物があり、店舗の奥に住居、さらに奥まった場所に蔵という配置で、鹿沼ではこうした配置が多いそうだ。


















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