地域によって風土に合わせて使われている材料や形に違いがあるだけでなく、デザインや装飾なども地域差が大きい。街並みとして保存されていれば観光資源となりうるわけだ。
それにいち早く着目した栃木県栃木市は昭和50年代から歴史的資源としての街並みの調査、整備を始めており、現在は蔵の街として知られる。それ以外にも埼玉県川越市、千葉県香取市(旧佐原市)、福島県喜多方市その他、蔵が残る街並みを売りにする観光地もある。
だが、地域全体で蔵をアピールしていてもすべてが使えるわけではない。それ以外の地域ならなおさらで一般的な空き家同様、使い道がない、改装する資金がない、大量のモノが詰め込まれているなどの理由から放置されている蔵のほうが圧倒的に多いのだ。
地域再生を手掛ける地元の人とタッグ
そうした蔵の所有者からの相談をきっかけに生まれた事業がある。蔵を風呂とトイレなどの水回り、ベッドだけがある「泊まれる蔵」に改装するというもので、2018年に神奈川県葉山市で第1号の宿が誕生した。
手掛けたのは鎌倉に本社のあるまちづくり会社・株式会社エンジョイワークス。以降、長野県小布施町、同佐久穂町、富山県立山町、愛媛県松山市、栃木県鹿沼市と全国で蔵を再生してきた。
いずれも地元で地域再生などに関わる人たちと組んでのプロジェクトであることが特徴で、6棟目となるThe Bath&Bed Kanuma(鹿沼市)を立ち上げた風間教司さんもここ20年以上にわたって地域を変えてきた人のひとりだ。
風間さんは栃木県に6店舗を構える「日光珈琲」のオーナーで、1999年に自宅を改装、分かりにくい路地の奥に本店である「饗茶庵(きょうちゃあん)」の名で開業した。


















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