「笑っているように見えた」60匹のカエルと向き合う主婦が守る"心の距離"と、別れで学んだ"飼育者の責任"

✎ 1〜 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「夫は、『楽しいならいいんじゃない?』って感じです。子どもたちも、あまり興味がないみたい。長女だけは、たまに『カエル部屋行っていい?』っていうけど、下の子たちは虫のほうが好きみたいで」

ぴよさん自身も、カエルに対してはリスペクトを持って一定の距離を保っている。夜行性なので夜はカエル部屋に入らない、人に触られるのが好きではない子には、無理に給餌をせず、そっとエサを置いておくなど、カエルの「人権」に配慮しているという。

改めて、ここまでカエルの飼育に没頭し、4年以上も動画を上げ続けている理由を聞いてみた。

少しずつ生まれる信頼関係

「たぶん、カエルと自分との相性がいいんだろうなと思います。人に懐くような生き物じゃないのに寄ってくるようになって、少しずつ信頼関係が生まれていって。私も、一匹ずつの性格や考えていることが、少しずつわかるようになる。単純に、カエルたちと一緒に時間を過ごしていくのが楽しいんです」

夕飯どき、家族で囲む食卓に、カエルの大合唱が響いてくる。箸を止め、しばし聞き入るだけで、食事はつつがなく進んでいく。

60匹のカエルは、生活音と共に家族の日常に溶け込んでいる。

(写真提供:ぴよさん)
【カエルと暮らすには】
・種類ごとの生態(樹上性/陸性/水性・半水性)を理解し、専用レイアウトの水槽を用意すること
・体格差のある個体を同居させないなど、「同種・同サイズ」ごとの安全な飼育管理を徹底すること
・湿度維持のための床材、霧吹き、水入れ、水質調整剤、生き餌など、基本アイテムを常に適切にそろえること
・熱帯産の種も多いため、冬場は暖房器具で温度・湿度を安定させること(電気代の上昇も想定する)
・給餌は3日前後の間隔で行い、過度な給餌や世話をしない適切な距離感を守ること
・カエルは人に懐く生き物ではないと理解し、むやみに触れず、ストレスを与えないこと
・両生類を診られる病院を事前に探しておくこと
・死亡時に庭へ直接埋葬しないなど、生態系に配慮した正しい埋葬方法を守ること
・種によっては15年生きる命を預かるという、長期的な飼育の覚悟を持つこと
・「かわいさ」だけでなく、カエルという生き物の生態・気質を尊重すること
宮﨑 まきこ フリーライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みやざき まきこ / Makiko Miyazaki

立命館大学法学部卒業後、13年間法律事務所にてパラリーガルとして勤務。自己破産、離婚、失業、犯罪など、人生の困難な局面に置かれた人々と接してきた経験を生かし、フリーライターとして独立。
人物インタビューを中心に取材・執筆している。
静岡県浜松市在住。愛犬家。夫と愛犬・鰤(ぶり)と暮らしている。

X:@makiko_miyazaki

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事