「笑っているように見えた」60匹のカエルと向き合う主婦が守る"心の距離"と、別れで学んだ"飼育者の責任"

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「小さな子たちは、火葬にすると骨が残らないので、プランター葬にしています。大きな子は火葬にして、骨壺をカエル部屋に大切に保管しているんです」

カエルは、昔はどこの田んぼでもよく見かけた身近な生き物だった。しかし、田んぼや池が埋め立てられて産卵場所が少なくなったことや、外来種が持ち込んだ病原体の感染症などにより、個体数は減少している。

身近な生き物なのに、知らないことは多い。そして飼育者の知識のなさが、生態系にまでダメージを与えることもあるのだ。

カエルは身近な生き物だが、意外と飼育方法は知られていない(写真提供:ぴよさん)

カエルは、犬や猫のようなコミュニケーションはできない。かわいいからといって、好きなときに触れ合うとすると、ストレスを与えてしまう。また、毎日エサを与えると病気になってしまうため、3日程度間隔を空けて給餌する必要がある。

そのほか、樹上性、陸性、水性などの生態型があり、それぞれの種に合った環境を整える必要もある。カエルを診察できる病院が少ないうえに、連れていくタイミングを見極めるにも、知識と経験が必要だ。一方で、うまく飼育すれば15年生きる種もいる。

ぴよさんは、YouTubeチャンネルの概要欄で以下のように注意喚起をしている。

「これからカエルを飼いたいと思った方は、是非カエルのことを沢山調べてからお迎えしてあげてくださいね」

動画内ではぴよさんに懐いているように見えるカエルたち。実際は「エサをくれる生き物」程度の認識だという(写真提供:ぴよさん)

日常に溶け込むカエルの合唱

ぴよさんの運営するYouTubeチャンネルの登録者数は、42万人にのぼる(25年11月現在)。動画のコメント欄には、「カエル恐怖症なのに、かわいく見える」「カエルたちが愛されて育っていることが感じられる」というコメントが目立つ。なかには海外からのものもある。

ぴよさんの、「カエルの魅力を伝えたい」という目的どおり、カエル好き以外の人たちからも愛されるチャンネルに成長した。

今後は、「カエルは生理的に受け付けない」という人にも見てもらいたいと、イラストでの発信活動も始めている。

ジュウジメドクアマガエル
ぴよさんのYouTubeチャンネルは登録者42万人を超えた。写真はジュウジメドクアマガエル(別名ミルキーフロッグ)(写真提供:ぴよさん)

これだけ登録者が増えれば、さすがに家族も関心を持つのではないかと思ったが、相変わらず反応はクールだ。

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