翻訳家も薦める 文字だけ英語学習に「見る」を入れると劇的に変わる 《ビジュアル》で学ぶ"英語"がこうも話題になる理由

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近年、マンガやアニメから日本語を学んだというYouTuberが大勢活躍しているのは周知の事実である。またフランスの話になってしまい恐縮だが、フランスは世界で日本のマンガがもっとも読まれている国のひとつである。そこで生まれ育った日本語の見事な使い手に幾人も出会ってきた。だからこそ、マンガが外国語学習に果たす役割が無視できないことを実感している。

そんな彼らのひとりから聞いた、いまだから言える笑い話がひとつある。

あるマンガが好き過ぎるあまり、主人公のキャラの独特の口調を覚え、初めての日本旅行でそれを実践したそうだ。空港に降りたって数時間もしないうちに、もしかすると自分はかなりおかしなやつだと思われているかもしれないと思い、そのあとはすっかり無口になって2週間を過ごしたそうだ。当時は切なかったろうが、「あのマンガが日本語への入り口をくれたのはたしか。偏ったやり方を見直すいい機会になった」と言っていた。そこは、マンガ作品とマンガ教材の違いだろう。

“文字”から“絵”へ――学びの主役は変わりつつある

ビジュアル学習の優れた効用について語ってきたが、筆者は決して、単語帳や文法書を使う従来の学習を否定するつもりはない。基礎力を鍛えるうえで、いまも変わらずそれらが有用であるのは間違いないと思っている。

新たに外国語をはじめるひとから「何かおすすめの方法はないですか?」と尋ねられたときは、必ずと言っていいほど「何でもいいので、一冊、基礎文法の参考書を最後まで読み通すのをおすすめします」と答えている。まずは基礎ありきだ。

(画像:『つかめ!英語ダマン 英会話で世界にとびだせ!編』)
(画像:『つかめ!英語ダマン 英会話で世界にとびだせ!編』)

だが、“文字だけの学び”に限界を感じているひとが増えているのも事実だろう。時代と共に学びは進化し、手法の選択肢はますます増えている。視覚を通じて「イメージで理解する」――そんなビジュアル学習は、記憶を助け、実践に結びつく英語力を養う近道のひとつになりつつある。

読者のあなたが学習に迷いを感じ英語の大海を漂流しているならば、深みに飲まれて溺れる前に、この新たな潮流に乗ってみてはいかがだろう。まさにいま、英語を「読む」だけでなく「見てつかむ」時代が、静かに始まっているのだ。

丸山 有美 フランス語翻訳者、編集者

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まるやま あみ / Ami Maruyama

フランスで日本語講師を経験後、日本で芸術家秘書、シナリオライターなどを経て、2008年から2016年まで雑誌『ふらんす』(白水社)編集長。2016年現在、フリーランスとして、ローカライズやブランディングまで含めた各種フランス語文書の翻訳と編集、インタビュー、イラスト制作、ラジオパーソナリティ、展覧会や日仏関連イベントの企画・制作、司会などに携わる。訳書に『色の物語』シリーズ(ヘイリー・エドワーズ=デュジャルダン著、翔泳社、2023-2025年)ほか。

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