「やる意味ある?」との声も…劇場版『チェンソーマン』が大ヒット・藤本タツキ『ルックバック』が実写映画化、是枝監督でも不安が募る事情
小学4年生の藤野は、学校新聞で毎週4コママンガを連載していた。クラスメイトから褒められ、自分の画力に絶対の自信を持っていたのだが、ある日不登校の同級生・京本の絵が掲載されたことで人生が一変する。周囲がこぞってその画力の高さに驚き、そして京本に比べたら「藤野の絵はフツー」だと評価したのだ。
「絵がフツー」だと言われた悔しさをバネに、画力を上げるためひたむきに努力し続けた藤野。にもかかわらず、京本との画力の差は埋まらず、一度はマンガを描くことを挫折してしまう。
そんな中迎えた小学校の卒業式。京本の家に卒業証書を届けにいった藤野は、初めて京本と邂逅し、天才だと思っていた相手が自分よりはるかに努力を重ねていたことを知る。そして、京本から「マンガのファンです」と告げられたことで再びペンを握ることに。
それからの2人は、一緒にマンガを作りながらまばゆい青春を送っていくのだが、ある日、すべてを打ち砕く事件が起きる──というストーリーだ。
本作を読んだ人の多くは、読了後に「とんでもないマンガを読んでしまった……」と感じたのではないだろうか。ひたむきにマンガに向き合い続けた藤野と京本の人生に、ただただ「圧倒」させられる作品なのだ。
ただし、本作の魅力は藤本タツキの圧倒的な才能を浴びられることだけではない。天才に打ちのめされたこと。「絵 うまく なり方」で検索してデッサンの勉強をしたこと。周囲に「もうマンガなんて卒業しなよ」といわれて流されたこと。自分の努力の結果を誰かに褒められたのがうれしくて、飛び跳ねながら帰った日……。こうした「誰もが人生で経験したことのある感情」がふんだんに描かれているからこそ、たくさんの人の心に突き刺さったのだろう。
まさに、藤野と同じ感情を経験したことがあるクリエイターを中心に大きな話題となり「このマンガがすごい!2022」オトコ編第1位にも輝いた。143ページにもわたる読み切りだった『ルックバック』。2021年9月の単行本発売に続き、2024年6月には劇場アニメも公開された。
原作に忠実で評価された劇場アニメ「ルックバック」
そんな、劇場アニメ「ルックバック」について見ていこう。
本作のアニメーションを制作したのは「スタジオドリアン」。スタジオジブリ作品「借りぐらしのアリエッティ」や「風立ちぬ」などに、主要スタッフとして参加した押山清高氏が監督・脚本・キャラクターデザインを務めた。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら