「乳酸」は"疲労物質"じゃなく"脳のエネルギー源"。認知機能向上やうつ症状改善作用の可能性も――体に疲れをもたらす真犯人の正体は?

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疲労・息切れする女性
筋肉が疲労する原因は何でしょうか(写真:buritora/PIXTA)
健康意識の高まりとともに筋肉への注目が集まっている。京都府立大学で筋肉の研究を進める青井渉氏が、人間にとって筋肉がいかに重要か、医学、栄養学、スポーツ科学の見地から解説する。筋肉はいかに“すごい”のか、そして今注目される筋肉の分泌物質「マイオカイン」とは――。
(青井渉著『筋肉はすごい』から一部抜粋して、ご紹介します)

乳酸とは何か

運動を続けていると少しずつ筋肉が疲れてきます。この筋肉が疲労する原因は何でしょうか?

かつてのスポーツ科学の知識がある方ならば、「乳酸が貯まるから」と答える方も多いはずです。たしかに、激しい運動であればあるほど、筋肉内で乳酸が作られます。しかしその常識は変わり、疲労の原因は乳酸ではないことが定説になっています。

そもそも乳酸とは何でしょうか?

筋肉は血液から取り込んだブドウ糖を代謝してエネルギーを作りますが、その過程の解糖系というシステムで乳酸が作られます。

解糖系は、酸素がなくても代謝反応が進むのが特徴です。酸素が十分に供給されていれば、解糖系でできたピルビン酸はミトコンドリアに入ってさらなる代謝へと進みます。

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