1989年バブル絶頂期と何が違う? 日経平均5万円でも「サナエバブル」ではない理論的な根拠
つまり、株価は「景気」と「(投資家の)期待」という2つの要因で動くものです。そこで、これら2つの観点から、実際の日経平均株価の適正水準を試算します。
株価の理論的な適正水準を考えるにあたって、その決定要因の「景気」と「期待」を数値化する必要があります。
「景気」を1株当たり利益で読み解く
まずは「景気」について考えてみましょう。そもそも景気が良くなるとはどういうことでしょうか。身近な例で言えば、企業の業績が改善し、そこで働く人の給料やボーナスが増えることで、私たちは「景気が良くなってきた」と実感できます。景気は企業の業績と密接に結びついているため、景気を理解するうえでは企業の収益動向をイメージしましょう。そして株価との関係で言うと、株価は1株あたりの企業の利益と対応しています。
では、日経平均株価の1株当たり利益はどの程度でしょうか。日本経済新聞が11月末時点で掲載しているデータを基に計算すると、予想1株当たり利益は2665円となります。数字だけではイメージしにくいかもしれませんが、日経平均を構成する銘柄群が1株あたりどれくらいの利益を生み出しているか、という水準だと捉えていただければ十分です。
一方、もう1つの要素である「期待」は、投資用語でPER(ピーイーアール・株価収益率)と呼ばれる指標で数値化されています。先ほどの1株当たり利益2665円に対して、11月末の時点で日経平均株価5万253円が何倍の評価を受けているかを示すもので、日本経済新聞では18.85倍(=5万253円÷2665円)と公表されています。
次の図は、1株当たり利益とPERを掛け合わせることで日経平均株価が算出されることを表しています。式の中で1株当たり利益が相殺され、最終的に日経平均株価そのものが導かれるという、株価の基本的な成り立ちを示すものです。



















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