「どうして観に来てしまったのか…」 酷評続きの細田守最新作「果てしなきスカーレット」。上映開始5分で「激しく後悔」した単純な理由
また、本作でたびたび描かれるバトルシーンにも注目したい。演出はいったん置いておくとして、そのアニメーションは見事なものだった。剣や銃弾が飛び交うバトルシーンには無駄がなく、息つく暇もないほどスピーディな展開が繰り広げられる。あれだけのシーンを作り上げるには、モーションアクターやアニメーターの血と汗の結晶が詰め込まれているのだ。
さらに、ラスト20分ごろからの色鮮やかな景色の数々は圧巻のひと言。まさに細田守監督らしい美しさを堪能できる。序盤の90分をカットし、ラストだけを観るほうが満足感が高いのではないかと思うほど。きらめく海に澄み渡る空、轟く雷鳴など、変化し続ける背景に思わず感嘆してしまった。
ハイクオリティだからこそ膨らむ制作費は回収できるのか
さて、こうしたハイクオリティなアニメーションを作るためには莫大な制作費がかかっている。冒頭でも述べた通り、3DCGの制作には2Dよりも高いコストがかかるケースが多い。近年の邦画では実写・アニメ共に3DCGを取り入れる作品が増えている。
中でも、大ヒットを記録した「ゴジラ-1.0」の制作費は約15億円(くらいだと言われている)。「果てしなきスカーレット」のクオリティを生み出すには、ゴジラ-1.0と同程度のコストがかかっていると考えられそうだ。
なお、本作を鑑賞した3DCGアニメーターの友人によると、「少なくとも10億〜15億円程度の制作費がかかっているのではないか?」ということだった。
「果てしなきスカーレット」はこれだけの制作費を回収できるのだろうか。
2025年11月21日の公開から3日間での累計動員は13万6000人・興収2億1000万円。制作費を15億円だと見積もると初週の約8倍の収益を上げる必要があるのだが、公開数日で上映回数が減らされている現状を見る限り制作費の回収は厳しいといわざるをえない。
もっとも、そのハイクオリティな映像には目を見張るものがある。その裏にあるクリエイターたちの努力をたたえるためにも、劇場で観られる間に一度足を運んでみてもよいのでは。酷評されているからと邪険にするのではなく、ぜひ自分の目で確かめてみてもらいたい。
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