「どうして観に来てしまったのか…」 酷評続きの細田守最新作「果てしなきスカーレット」。上映開始5分で「激しく後悔」した単純な理由
2025年11月30日。「果てしなきスカーレット」公開翌々週の日曜日、劇場で鑑賞した。日曜日の16時台というゴールデンタイムにもかかわらず、とにかく空席が目立つ。筆者が観たスクリーンのキャパは189席だったが、実際に埋まっていたのは約2割程度だった。
真ん中付近のG列で鑑賞したのだが、筆者の前方にはたった5人しか人がいない。さらに、後にも精々十数人という閑散っぷり。観る前からその評価が決まっているようなものではないか。怖いもの見たさに鑑賞したことをすでに後悔しはじめていた。
映画がはじまって約5分。「どうして観に来てしまったんだろう」ーーそんな後悔が脳裏をよぎった。内容も画面も、最初から、とにかく暗すぎるのだ。
細田守監督作品といえば、自分が知らないワクワクするような色鮮やかな世界を楽しませてくれるのではなかったのか。「果てしなきスカーレット」の冒頭にあるのは、ほとんど色のないくすんだ世界と幾多もの死体だけなのだ。この時点で本作の鑑賞を「懲役」だと表現した気持ちが理解できてしまった。
「暗い」以上に多かったメモは…
本作では、こうした世界が果てしなく続いていく。鑑賞しながらペンで取っていた紙のメモを見返すと、「全然ワクワクしない」「暗すぎる」という文字が何度も出てきた。
ちなみに、最も多かったメモは「何?」「何で?」というとまどいだった。その数は、なんと……66回。少なくとも、112分の映画の中で「何で?」と66回首をひねったのだ。ちなみに、「何で?」と疑問に思った内容が回収されることはほとんどない。
つまり、キャラクターたちの行動原理が1つもわからないのである。さらに、メインキャラクターたちの言動に一貫性がないので、感情移入もできず登場人物への愛着が湧くこともない。あまりにもキャラクターの言動が理解できなかったので、スクリーンを出て真っすぐTOHOシネマズのショップに向かい本作の小説を購入したほどだ(小説にはキャラクターの心理描写もあるので、映画を観た後にまだ「果てしなきスカーレット」と向き合う気力があるならぜひ小説を読んでみてほしい)。



















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