「どうして観に来てしまったのか…」 酷評続きの細田守最新作「果てしなきスカーレット」。上映開始5分で「激しく後悔」した単純な理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ストーリーにはとにかくさまざまな要素がぶつ切りで出てくるので、前後のつながりや整合性が気になってしまった。「誕生日のお祝いにハンバーグとピザと寿司とラーメンとカレーを用意しました!」というようなイメージをしてもらえばわかりやすいだろうか。あれもこれもと好きなものを詰め込んだ結果、よくわからない食べ合わせになってしまっているのだ。

もっとも、「時をかける少女」「サマーウォーズ」なども多数の要素が含まれた作品なので、さまざまな要素が出てくること自体を否定しているわけではない。わけではないのだが、「果てしなきスカーレット」において各要素が驚くほど絡まっていないのである。

そのうえで、本作には多くの人が細田守監督に期待しているであろう、ワクワクするような世界観やまばゆい青春もなければ、(あくまで個人の感想だが)愛せるキャラクターもいなかった。そんな時間が112分も続くのだ。途中から「つらい」以外の感情がなくなってしまった。

2000円を支払って「暗い」「何で?」といった感想を抱いた(筆者撮影)

筆者がいたスクリーンでは、映画上映中ポップコーンを食べる音とジュースを飲む音以外の音は聞こえてこなかった。そう、子どもから老人まで幅広い年代の観客がいたにもかかわらず、誰一人として泣きも笑いもしていなかったのだ。泣けもせず、笑いもできない映画をただただ見続けるために払った2000円。確かに、「罰金」だと感じる気持ちもわかってしまう。

酷評されるストーリーを支える?ハイクオリティなアニメーション

このように、筆者のメモが「暗い」「何?」「何で?」「つらい」などの文字で埋め尽くされ、SNS上でも圧倒的に酷評が目立つ「果てしなきスカーレット」だが、見どころがないわけではない。

例えば、そのアニメーション自体はとてもクオリティが高い。おそらくここが作りたかったのだろう。と感じるほど気合いが入った迫力のシーンや華やかなダンスシーンなど、とにかくこだわって作ったことが伝わってくるほどだ。

ところで、筆者が共に鑑賞したのは、3DCGアニメーターをしている友人である。友人によると、中でも「スカーレットの表情には相当労力がかかっている」という。

鑑賞した人ならわかると思うが、作中でのスカーレットはとにかく表情が豊富なのだ。細田守監督は、それだけ怒りや悲しみ、絶望などあらゆる感情に翻弄されるスカーレットの表情に注目してほしかったのだろう。

(筆者撮影)
次ページラスト20分の迫力は凄い!
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事