「果てしなきスカーレット」の沈没と「ズートピア2」の大ヒット 日米でアニメに求められる"決定的な違い"

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声のキャストについての反応も違っている。日本では、有名スターを起用するより声優を生業としている人がいいと思う観客が一定数いるようだし、『果てしなきスカーレット』へのコメントの中にも、「予告編を見てキャラクターと声が合っていないと思った」というものが見られた。

ジェフリー・カッツェンバーグが率いた全盛期のドリームワークス・アニメーションは、明らかに知名度のあるスターを声のキャストに選び、それも大きな宣伝材料としていた(エディ・マーフィは『シュレック3』の声の出演で1500万ドルを受け取ったとされる)。

声優は知名度よりキャラとのマッチングを重視

今も有名俳優をアニメーション映画の声にキャストする傾向はハリウッドに強いものの、ディズニーやピクサーは、知名度より、「このキャラクターにどの声がふさわしいか」を重視している。

『ズートピア2』に新登場するヘビのキャラクターに、オスカー受賞者キー・ホイ・クァンが選ばれたのも、監督のひとりがたまたま見た深夜トーク番組に彼がゲスト出演し、その声を聞いて「これだ」と思ったからだ。

また、アメリカのアニメーション映画に「キャラクターと声が合わない」という指摘があまり出ない根本的な理由は、制作過程が大きい。

ハリウッドのCGアニメーションでは、先に絵が作られてそこに声を当てるのではなく、声を演じてもらう様子をビデオも込みでレコーディングし、その人の表情や身振り手振りも参考にしてアニメーションを作っていくのだ。つまり、俳優の演技や、そこに滲み出るパーソナリティなどは、キャラクターの重要な一部となるのである。

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