「果てしなきスカーレット」の沈没と「ズートピア2」の大ヒット 日米でアニメに求められる"決定的な違い"
『トイ・ストーリー3』も、クライマックスで思い切り泣かせるが、最後は大好きなキャラクターたちがみんな楽しそうにしているのを見せられて、観客は微笑む。
アメリカの観客は笑う時は大声で笑うので、「楽しみをほかの人たちと共有している」という感覚もまた、映画館まで足を運んで良かったという満足感につながる。
ハリウッドのスタジオでは、ストーリーも、アニメーションのシークエンスも、チームのコラボレーションによって作っていく。チームのメンバーは自分のアイデアをどんどん提案し、優れていれば採用される。
しかし、これで行こうとなって絵コンテを描き、実際にシーンを作ってみたはいいが、結局映画全体の流れにうまくはまらなかったなどの理由でボツになることも日常茶飯事だ。
さらに、制作中には、その作品にかかわっていない社員も呼んで作業中の映画の試写をし、「ここはわかりづらかった」、「あそこはやや退屈かも」など感想を受けて、変更を加えていく。
アメリカではアニメの監督が表に出てこない
誰かが書いた脚本が最初からあって、その通りに絵が作られていくのではなく、そういった作業を通じ、ストーリー、結末は、制作中、どんどん変わっていくのだ。
とはいえ、たくさん出てくる選択肢の中で何を選び、何をカットするのかを決めるのは監督なのだから、作品の成功に彼らの力は大きい。しかし、業界人はともかく、一般観客は、アニメーション映画の監督や脚本家の名前に注意を払わない。そこが、ひとりの監督がストーリーもキャラクターデザインも手がけ、作家性が如実に出る日本のアニメとの違いである。
アメリカでは、監督の名前を見て新作を見るかどうかを観客が考えるということは、まずない。



















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