釧路湿原だけじゃない…再エネ発電施設が生態系に与える深刻な影響

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ジンジャーとは、「Global Initiative for Nature, Grids and Renewables (自然、電力網、再生可能エネルギーのための地球規模のイニシアチブ)」のことで、略して「GINGR」、ショウガの絵のロゴマークもある。

2025年11月に公表された「白書」には、「再生可能エネルギーのロードマップ(行程表)」という副題がついていて、「自然と人々のためになる再エネになっているかどうか評価するためのツールを提供し、公正で持続可能なエネルギー移行を支える」とジンジャーのねらいを説明している。

ジンジャーは目下取り組む観測・測定と報告の枠組み作りを通して、各国政府、再生可能エネルギー産業、財政・金融部門の人々をサポートする、という。

明らかになってきた「悪影響」

白書はまず、気候危機(地球温暖化)と生物多様性の損失は互いに関連した喫緊の課題である、としたうえで、パリ協定、昆明・モントリオール生物多様性枠組み、持続可能な開発目標(SDGs)の目標をともに達成するよう、社会全体での取り組みが不可欠と強調した。

15年12月に成立し、翌年に発効したパリ協定の目標は、世界の平均気温の産業革命前からの上昇幅を2℃より十分下方にとどめ、1.5℃に抑える努力を追求するというもの。昆明・モントリオール生物多様性枠組みは、22年にカナダ・モントリオールで開かれた生物多様性条約第15回締約国会議で打ち出され、「30年までに陸と海それぞれの面積の30%を保全地域にする」という目標を掲げる。

どちらの目標も現時点で、達成が危ぶまれている。また、地球温暖化を抑制するために二酸化炭素など温室効果ガスの排出を削減することと、生物多様性の損失を食い止めることはしばしば相反する関係にある。

白書は、エネルギーに関して、二酸化炭素の排出が多い石炭、石油、天然ガスなど化石燃料による発電、廃棄物の問題が解決していない原子力による発電について、どちらにも否定的であり、再生可能エネルギーによる発電しかない、とする。

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