香港高層マンション大規模火災の死者は128人に、改修工事関係者の逮捕続く
香港保安局は28日、香港北東部、大埔区のマンション群「宏福苑」で26日に発生した大規模火災の被害が、死者128人に達したと発表した。香港では過去80年近くで最悪の被害で、当局は火災原因に関連している可能性があるとして、同マンションの改修工事の関係者らを逮捕した。
保安局の鄧炳強(クリス・タン)局長は、記者会見で、さらに遺体が発見される可能性を否定できないと述べた。死亡者の89人は身元確認ができておらず、約200人の住民が安否不明という。
また、鄧氏は、マンションの改修工事のために設置された建築資材が、火災の急速な拡大につながった経緯を説明した。
火災は26日、宏福苑の低層階で発生した。竹製足場に巻かれたネットに引火し、窓周辺に設置された可燃性の高い発泡ボードに燃え移った。猛烈な熱で足場も炎上し、燃えた竹片が落下した。火の手は、8棟から成るマンション群全体の上層階へ広がった。
消防局の楊恩健局長は、建物内の火災報知器に問題があり、警報音が鳴らなかったと明らかにした。
地元メディアによると、当局は、宏福苑の改修工事に関与した5人を逮捕した。サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、工事コンサルタント会社ウィル・パワー・アーキテクツの取締役2人が、28日に拘束された。改修工事を担当した請負業者の取締役2人とコンサルタント1人が、過失致死の疑いですでに逮捕されている。
改修工事現場は、災害発生以前から検査で危険性が指摘されていた。香港労工処によると、規制当局は改修工事に対し16回の検査を行い、適切な防火対策の実施を促す書面による警告を繰り返し発行していた。直近では、先週にも警告が出されていた。
当局によると、総工費3億1550万香港ドル(約63億円)の改修工事を担当する建設会社は、香港全域で他に11件の住宅プロジェクトも手掛けている。
香港立法会(議会)のイップ議員は、28日のブルームバーグテレビジョンのインタビューで「関係する役人や企業を断罪するのは時期尚早だが、政府は現行の法律を改めて見直すべきだ」と述べた。同氏は、工事の規模にかかわらず、難燃性の素材の使用に関する要件の不足点を特定し、執行を強化することが必要と訴えた。
27日に現場を視察した香港の李家超行政長官は、竹製の足場の利用を撤廃し、金属製に置き換える方針を示した。
ナティクシスのシニアエコノミスト、ゲイリー・ン氏は、この火災による広範な経済的影響は限定的だが、政治的問題の方が深刻だと指摘した。同氏は「一連の、さまざまな関係者の過ちが、最終的に悲劇を招いた」と述べ、香港には老朽化した建物が数多く存在するため、さらなる経済的・社会的・人的損失を防ぐには、浮上した問題に対処しなければならないと強調した。
著者:Olivia Tam、Pui Gwen Yeung、Shirley Zhao
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