タイの自動車生産は今や絶好調

日本勢の独壇場に

 


 わずか半年前、大洪水に見舞われたタイで、自動車生産が急回復している。3月は19・9万台と、単月では過去最高を更新した。

 

同月末にはスズキが中部のラヨン県で、小型車「スイフト」の生産を開始。同じ時期にはホンダの4輪車工場が復旧し、4月に入ってからは三菱自動車も華々しく新車のラインオフ式を迎えた。この秋にはいすゞ自動車でも、ピックアップトラックの新工場が稼働する見込みだ。

相次ぐ日本の自動車メーカーの明るい話題。4月以降も生産の快走ぶりは続いている。2011年夏から12年の年明けまで続いた洪水では、死者800人以上もの犠牲が出たが、もはやタイ国内には悲壮な面影などない。一時は、「工場に水が入ってきた時はパニックになった」(ホンダの現地従業員)という光景が、まるでウソのようだ。

予想上回るホンダ復旧 リスク回避で新工場か?

昨年10月8日、17時35分。タイ中部のアユタヤ県にある、ホンダの4輪工場正門前の堤防が決壊した。10月から被害が拡大した洪水に対し、ホンダは浸水直後から軍と協力して排水を試みる。だが水の勢いはすさまじく9日には排水を断念。工場の全エリアが水没し、水位は最大2・5メートルに達した。

多くの日本企業が生産停止に追い込まれた中、最も打撃が大きかったのは工場が水没したホンダである。しかし工場が浸水する最中でも、小林浩・常務執行役員アジア・大洋州本部長は早々と、給与は保証すると宣言。撤退をきっぱり否定した。

11月上旬から始めた排水作業は何とか2週間ほどで完了。工場に入った際は「社員食堂で異臭が立ち込めていた」(井上義男・製造管理コーディネーター)という。その後消毒・清掃し、2月に新たな設備を据え付ける。電気系の制御板など一部を先行発注していたのも幸いした。日本からピーク時で300人が駆け付け、3月26日に稼働再開、4月9日にはフル操業まで復元した。

 

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