タイの自動車生産は今や絶好調

日本勢の独壇場に

 

アユタヤの洪水リスクが顕在化したにもかかわらず、ホンダが同じ場所で復旧を望んだのはなぜか。被害の少ない他地域へ工場を移す道もあったはずだ。しかしホンダは雇用に加え、「これ以上待たせてはいけない」(幹部)と顧客の事情を最優先した。今後は洪水の可能性の低い南東部での工場新設もささやかれるが、「現時点では決めていない。タイの市場がどれだけ伸びるかだ」(小林浩・常務執行役員)という。

現状でホンダは二つの4輪工場を抱え、タイでの生産能力は年24万台に達する。08年秋には新設された第2工場の稼働直後にリーマンショックが直撃。アジア戦略車「ブリオ」の生産を始めた11年には、東日本大震災とタイ洪水が襲った。度重なる環境悪化でホンダが最も量産できたのは、10年の17万台にとどまっていたのが実態だ。今期は初めて、年間通じたフル生産を目指す。

今、ホンダの工場があるロジャナ工業団地の周囲では、高さ2・5メートルの防水堤にコンクリート製の板が打ち込まれている。約3・8メートルの高さまでカサ上げする計画だ。新たな防水堤は団地の周囲77キロメートルにわたり、8月末には竣工する見込み。現地では着々と洪水対策が進む。

日系メーカーにとってのタイの位置づけは、世界市場をにらんだ輸出拠点に変わってきた。その最新の事例が、三菱自動車の新工場だ。

三菱自は16年ぶり新工場 ミラージュを逆輸入へ

「タイは中東に行くのにも距離のハンデがない。インドにも近い。バングラデシュやミャンマーなど、これから伸びる市場にも近い」

タイの南東部、チョンブリ県に位置する、三菱自動車のラムチャバン工場。4月でも気温は35度以上。強い日差しが照りつける中、益子修社長は力を込めて強調した。

三菱自が世界戦略車と位置づける、新小型車「ミラージュ」は4月19日、量産がスタート。生産するのは12年に新設した第3工場で、投資額は270億円、初年度11万台を計画している。タイ国内にとどまらず、ASEAN(東南アジア諸国連合)や欧米など、世界に広く輸出する拠点だ。日本へは7月に“逆輸入”し、8月発売を目指す。

 

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