1位は改定後の最低賃金に満たない求人が84.75%…「新最低賃金に"満たない"求人割合」が多い市区町村ランキング100

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今回は、当社が収集している求人媒体の掲載情報を活用し、最低賃金改定前の求人を対象に、改定後の最低賃金に満たない割合を市区町村別に分析した。

2025年度の最低賃金改定により、全国すべての都道府県で時給1000円を上回る水準となり、賃上げの動きが全国的に広がっていることが明らかとなった。物価上昇を背景に、特に地方圏では引き上げ幅を目安額より10円以上上乗せする自治体も多く、賃上げの勢いが強まっている状況である。

市区町村別に見ると、改定後の最低賃金に満たない求人の割合には地域差が顕著である。宮崎県串間市や岩手県滝沢市では8割を超える求人で時給の引き上げが必要となる。

一方、長野県軽井沢町や北海道俱知安町、静岡県御殿場市といった観光地では、改定後の最低賃金を上回る求人が多数存在していた(詳細は後編:『「3位は御殿場市、2位は俱知安町、1位は…? 「新最低賃金に満たない求人」が"少ない"市区町村ランキングTOP100』)。これにより、業種構造や地域経済の特性が賃金水準に大きく影響していることが確認された。

今後は、製造・販売・飲食などの労働集約型産業を中心に、賃上げと人材確保の両立が課題となる。最低賃金の上昇が続く中で、企業には単なる時給改定にとどまらず、生産性向上や職場環境の改善を通じた持続的な賃上げの仕組みづくりが求められるだろう。

・調査概要:当社が収集した「イーアイデム」「バイトル」「マイナビバイト」「ハローワーク」に掲載の求人媒体より、「バイト」「パート」の求人情報を抽出し、集計した。
・集計対象期間:2025年9月1日
・平均時給の計算方法について:求人情報の給与項目内にある給与情報を数値に変換し、時給の下限金額を合算して平均値を算出した。また、最低賃金の減額の特例許可制度利用企業を除外するため、2024年の最低賃金で最も低い951円以上の求人に限定した。
・職種分類について:複数の求人媒体の情報をまたいで集計するため、媒体記載の職種カテゴリーを使用せず、独自のキーワードマッピング処理に基づいた業種・職種カテゴリーを使用して求人情報を分類・集計した。なお、外れ値等を考慮し、全22職種ある分類のうち以下17職種に限定した。
アミューズメント、クリエイティブ(Web以外)、クリエイティブ(Web系)、ファッション/アパレル/インテリア、ホテル/旅館/ブライダル、医療/医薬/福祉、飲食/フード、運輸/物流/配送/警備/作業/調査、営業/事務/企画/管理、映像/イベント/芸能/キャンペーン、公務員/団体職員、製造/工場/化学/食品、専門職、電気/電子/機械/自動車、農林水産関連、販売/接客/サービス、美容/エステ/ネイル
・都道府県・市区町村について:求人情報の勤務地情報を取得し集計をおこなった。1求人に対して2つ以上の勤務地都道府県が紐づいている場合、最初に記載されている都道府県を採用した。外れ値調整のため、2025年9月1日時点で求人が50件以上掲載されている市区町村に限定した。
・その他の集計条件について:外れ値調整のため、企業名が派遣会社を含むデータを一部除外した。
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