人口約1万1000人の北海道浦河町でインド人《2015年13人⇒2025年327人》急増の"切実な事情"

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日本人の平均年齢は、49.38歳。世界の中でもきわめて高い。一方のインドは28.44歳。日本より20歳も若い(国連・2024年人口推計)。しかもインドは人口が世界最多、2023年には14億を超えた。

モディ首相は、国内での雇用の創出が若年人口の増加に追い付かないこともあって、海外への人材供給に力を注ぐ。仕事はあるが働き手のいない日本と、働き手は多いのに仕事がないインド。まさに、ウィン―ウィンの関係だ。

浦河町では、2015年、13人のインド人が、初めて住民登録をした。2017年に100人、2020年には200人を超えるなど高いペースで増え続け、2025年には327人(4月1日現在)を数えるまでになった。

インド人ホースマンの月給は、税金や保険料などを差し引いた手取り額で20万円から25万円程度。インドの競馬場の月給は、日本円に換算して6万円から8万円が相場だというので、3倍から4倍だ。

日本人の同僚はどう感じているのか?

私がアクティファームの宿舎でチャイに呼ばれたとき、インド人の乗り役のスマホが鳴って、ヒンディー語でのビデオ通話が始まった。やがて彼は、スマホの画面を私に向けた。

集団でトレーニングしている様子
集団でトレーニングしている様子(写真:『HHH(エイチエイチエイチ)インド人、ジャパンの競馬をHelpします!』)

「弟だ。静内(浦河の西隣り、新ひだか町の中心地)にいる。私は日本に来て7年、弟は3年になる」

このように、エージェントに自分の家族を紹介するインド人ホースマンが増えてきたのだ。

辻啓太さんが、しみじみと言った。

「最近、やっと楽になりましたよ。それまでは『誰か、人いないか?』って探し回ってましたから」

辻牧場は1910(明治43)年に創業した日高地方でも有数の老舗だ。生産部門の「繁殖本場」は浦河にあり、そこでは4人のインド人が働いている。2023年5月に私が訪れると、早朝の廏舎で20代のインド人が、馬の肛門に体温計を差していた。毎朝の日課だ。馬の平熱は人間よりも1〜2度高い。

「(30)8度3(分)ね、体温。グッドね、大丈夫ね」と、日本語で言った。

啓太さんが統括する育成部門には十数人の乗り役がいるが、日本人は3人だけだ。その1人、入社したばかりの畠山響さん(23歳)を宿舎に訪ねた。

畠山さんは女性アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の大ファン。枕カバー、バスタオル、フィギュアと、部屋の中はグループの「推しメン」のグッズで埋め尽くされている。

「年に一度、ももクロのライブに行くために仕事を頑張っています」と話す。「でも、別に恋愛感情とかではないですよ」とわざわざ断るのが少し可笑しかった。アイドルを応援する一方で、「将来は海外の牧場でも働いてみたい」と静かな野心も持っている。

インド人の同僚たちについては、

「『何話してるんだろうな?』って思うことはたまにありますけど、仕事するうえではナニ人だろうと関係ないです。プライベートのつきあいもないですし」

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