次の開業はどの国だ?「世界の高速鉄道」最新事情 米国はテキサス新幹線苦戦、「LA・ベガス線」優勢
建設費用は当初の124億ドル(約1兆9490億円)から215億ドル(約3兆3790億円)に膨らんだが、連邦政府から30億ドル(約4715億円)の補助金を得たほか、60億ドル(約9430億円)の融資も決まっている。「もしかしたらこれがアメリカ初の高速鉄道路線になるかもしれない」とロウビー氏は期待を寄せる。
4:北東回廊のうち、ワシントンDC―ボルチモア間約64kmについては既存の鉄道路線に加えてリニアを建設する計画もある。この区間の既存路線は線路改良による速度向上がままならず、リニア計画が浮上した。環境影響評価など着工に向けた準備が進められていたが、2021年に中断。2025年に7月に連邦政府が「計画に実現性がない」として計画を撤回した。
「テキサス新幹線」は先行き不透明に
5:ダラスとヒューストンを結ぶテキサス高速鉄道は民間プロジェクトとして策定された。東海道新幹線のN700Sの技術を使った列車が走るなど実現に向けた詳細はほぼ固まり、あとは建設資金を調達できるかが鍵となっていた。2023年にはアムトラックが計画に参加した。これによって資金調達面で信頼度が増すとともに、アムトラック向けの連邦補助金が得られることも期待された。しかし、2025年4月に連邦政府は補助金を撤回、アムトラックも計画から離脱した。将来は不透明な状況となっている。「夢が遠ざかっている。だが、4年後には状況が変わるかもしれない」とロウビー氏は望みをつなぐ。
このように、アメリカ国内の高速鉄道プロジェクトがなかなか進まない状況について、ロウビー氏は「夜明け前は最も暗いというが、それどころか今は真夜中だ」と話す。
「日本で新幹線に乗ったことがある人はアメリカにも高速鉄道がほしいと言うが、新幹線に乗ったことがない大半の国民は今までのアセラのレベルが高速鉄道だと思っている。アメリカにおいては高速鉄道のメリットが知られていないのだ。国内に高速鉄道がないことが国民にとって機会損失になっていることが理解されていない」。計画を前進させるためには、「政府が計画にもっと関わる必要がある。今われわれに欠けているのは国の計画がないことだ」とロウビー氏は話した。
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