次の開業はどの国だ?「世界の高速鉄道」最新事情 米国はテキサス新幹線苦戦、「LA・ベガス線」優勢
■アメリカ
アメリカには5つの高速鉄道計画がある。連邦鉄道局副局長・最高安全責任者(CSO)を務めた経験のあるロバート・ロウビー氏がそれぞれについて説明した。
1:北東回廊と呼ばれる、ワシントンD.C.―フィラデルフィア―ニューヨーク―ボストン間735kmを結ぶ高速鉄道「アセラ」に2025年8月、アルストム製の新型車両の運行が始まった。「車両の最高速度は時速約260kmだが、100年前の軌道の上を走るので最高速度で走れる区間は全区間のうちわずか51kmしかない。したがって平均速度は時速105kmにとどまる」とロウビー氏は話す。これでは在来線の特急列車と変わらない。それでも、運行するアムトラックにとっては唯一の黒字路線とのことで、旅客数をさらに増やすためにインフラ投資にも手を打っていくという。
初の路線は「LA―ラスベガス間」か
2:カリフォルニア州にはサンフランシスコ―ロサンゼルス間を結ぶ高速鉄道計画がある。時速257kmで運行し、2038年開業の計画だ。さらに将来的にはロサンゼルスからサンディエゴに延伸、北側ではサクラメントまで支線を設ける構想もある。
ただ、当初330億ドル(約5兆1870億円)と見込まれた建設費用は1350億ドル(約21兆2190億円)に膨らんでおり、当面の計画は全区間の中間にあるマーセド―ベーカーズフィールド間約275kmに縮小された。2033年の開業を目指すが、連邦政府は支援を引き上げた。これがどのように影響するか。
3:ロサンゼルスから東へ約70km離れた場所にあるランチョクカモンガとラスベガスを結ぶ全長350kmを時速200kmで走行する得高速鉄道計画もある。ランチョクカモンガは通勤鉄道「メトロリンク」でロサンゼルス中心部と結ばれているため、交通アクセスはよい。
以前は中国系企業も出資する「デザートエクスプレス」という計画だったが、その後、フロリダ州の鉄道会社ブライトラインが経営を引き継ぎ、「ブライトラインウエスト」という計画で動き出した。シーメンス製の車両が導入される予定だ。



















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