大事なのは「日経平均5万円」じゃない! 元・大和証券部長が注目する株式市場の大革命とは?

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実は、どちらの考えも株式市場に対する誤解と偏見によるものなのです。

時価総額は、会社が創出した現在の利益と、創出するであろう未来の利益をすべての投資家が見定めて付けた会社の値段です。それを発行済み株式総数で割った値が株価です。利益を創出するのは会社自身です。会社次第で株価はいかようにでも変わる。株価は意識して上げていくべきものなのです。

会社が株価を意識しなければ、投資家もその会社を信じることができず、経営とは別の要素で上下する短期的なリターンを狙った投資が効率的になります。企業が中長期的な株価上昇を意識していないからこそ、投資家は短期的にならざるを得ないのです。

日本マーケットの根っこにあるものとは?

こうした株式市場に対する誤解と偏見の根本を突き詰めていくと、お仲間同士の“株式持ち合い経営”にたどり着きます。

財閥グループ、ケイレツ、取引関係……。お仲間企業同士で安定株主として株式を持ち合えば、株価を意識する必要はありません。株価が低迷しようが、業績が赤字だろうが、仲間が守ってくれるので経営は安泰です。株主にモノを言われず、好きな経営ができ、社長の座にも座り続けられる、実に心地のよい環境です。

こちらは、1990年の会社四季報に掲載されたある財閥系企業2社の株主構成です。

株主構成
(出所)『会社四季報』

いかがでしょう。上位10社にズラリとグループや取引先と思われる企業が並んでいますよね。この2社が突出していたわけではありません。当時の歴史ある大企業の多くはこのような状態だったのです。

ここにようやくメスが入り始めたのが2015年。メスの一つが、上場企業が目指すべき姿を示した指針であるコーポレートガバナンス・コードであり、持ち合い株式(政策保有株式)は縮減が前提である旨が明記されました。こうして革命の「火種」が生まれ、それから約10年、火は絶えることなく少しずつ大きくなり、ついに革命の「炎」になったのが一昨年です。

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