"怪物"江川卓が与えた衝撃度と余波「誰しも認めた類稀なる才能」は、いかに他人の人生までも狂わせたか
結局、初回は15球のうち1球だけカーブであとはすべてストレートの三者三振。江川は相手の戦意を喪失させるかのように剛腕をとことん見せつけた。
二回表四番藤田寛が三振に倒れ、五番ピッチャー有田二三男(元近鉄)へ投じた第三球目、投球数23球目に初めてバットが当たってバックネット方向にファウルを打ったときだ。
「うおおおおおおおおおおおおお!」「当たった、当たったぞ!」
拍手に混じっての喚声で地鳴りが起こった。
日本中が江川の“凄さ”に圧倒された
このとき初めてマンモススタンドが揺れる。それから一球投げるたびに悲鳴にも似た歓声が沸き起こる。
野球に興味ない者も江川の投球に瞬時に圧倒され、すぐさま虜にされた。
中継を見ている人までもがあまりの凄さに友人に電話をし「おい、テレビで江川を見ろよ、凄いぞ」と興奮して話す。日本中が江川の“凄さ”に触れて慄いた。
初回から五者連続三振。六番杉坂高に対して力み過ぎて四球を出していたが、そこからまた三振ショー。四回二死まで11のアウトを全部三振に切って取った。
しかし次の五番有田がライトオーバーの三塁打を放ち、ノーヒットノーラン叶わず。観客からは「あああああ〜」落胆の大合唱が奏でられる。
二死三塁で六番杉坂を迎える。江川から点を取れる絶好機にもかかわらず、高橋克監督から出たサインは本盗だった。



















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