<独自>日本生命がひた隠しにする出向者「スパイ活動」の組織的指示、内部資料には「銀行は情報流出に厳格なので注意せよ」との文言が

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前述したように、この問題をめぐっては日本生命も2カ月前の9月に記者会見を開いている。そこでは、2019年5月から25年2月までの約6年間で、日本生命からの出向者13人が銀行をはじめ7つの保険代理店から計604件の内部情報を無断で持ち出していたと発表していた。

日本生命 スパイ活動 
日本生命は9月に開いた記者会見で、内部情報の無断持ち出しに関して「明示的な指示はない」と説明していた(撮影:尾形文繁)

その際も、「当社関係者から明示的な指示はなかったことを確認している」「複数の出向者が関与し(中略)組織に課題があったと認識している」(宮嶌隆浩取締役常務執行役員)などと説明しており、組織的な指示については認めようとしなかった。

あたかも、出向者が内部情報を無断で持ち出すことを「ミッションの一つ」だと勝手に思い込み、暴走したかのような言い草だが、果たして本当にそうなのだろうか。

「共有いただく際は十分ご注意ください」とのペーパー

ここに、A4判1枚の会議資料がある。銀行に出向している職員と本社の金融法人部門が一堂に会する定例ミーティングで配布された資料だ。

そこには「出向者へ期待すること」として、「出向先金融機関の実態や(出向者)自身の取組、他社(生保の)情報を日本生命本部、相対金法(金融法人部門)フロント、本社からの他行出向者へ共有」とある(カッコ内は筆者が補足したもの)。

さらに、その下には「銀行は保険会社以上に情報流出に対し厳格ですので、銀行で知り得た情報を本社へ共有いただく際は十分ご注意ください」と強調しているのだ。

この資料は本社の金融法人部門が作成したもので、会議の出席者には本社の担当役員の名前も記されている。要するに、本社主導でスパイ活動に汗を流していたわけだ。

日本生命は11月18日の会見で、組織的な指示はなかったものとして、再発防止策と役職員の処分を併せて発表している。

そうして早期の幕引きを狙っているとみられるが、それが自浄作用のなさを内外に証明し、切り捨てられた出向者や金融庁からさらなる怒りを買っていることに気付いているのだろうか。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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