首斬り発言の次は渡航自粛、中国在留邦人が直面する「反スパイ法」と「邦人襲撃リスク」に打つべき手は?

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日本は、台湾と友好関係を築く一方で、中国に対しても「今の中国こそ中国唯一の合法的政府」とする立場を尊重してきた。集団的自衛権に関しても「有してはいるが使えない」(1981年5月29日 鈴木善幸内閣での政府答弁書)という曖昧路線を堅持している。

事実、歴代の首相を振り返ると、岸田文雄元首相の場合、在任当時の2024年2月、いわゆる「台湾有事」と「存立危機事態」の関係について、「情報を総合して判断することとなるため、一概に述べることは困難」と述べるにとどめた。

石破茂前首相も、退陣後の11月13日、高市発言を受けて、「台湾の問題について『この場合はこう』と断定することを歴代政権は避けてきた」(TBSラジオ『荻上チキ・Session』)と述懐している。

中国から見れば、こうした日本の路線が、高市首相の答弁で一気に覆されたと映っているのだろう。

4選を目指す習近平は高市発言を看過できない

その中国では、日本で「初の女性首相誕生」に注目が集まっていた10月20日~23日、北京で、中国共産党にとって重要な会議、4中全会(第20期中央委員会第4回全体会議)が開催されたが、その席で、習近平総書記は、2年後の2027年秋に迫った共産党大会に向け、自身の後継者となる人物を指名しなかった。

これは、超異例とも言える4選に挑む姿勢を明らかにしたのと同じだ。しかもその年は、中国人民解放軍創設100年という節目にもあたる。

まさに、4選に向け政権の引き締めと国威高揚に向かおうとする時期での高市発言は、中国にとって看過できる話ではない。

「遺憾」といったありきたりのワードでは済まさず、「14億の中国人民は決して許さない」や「頭を打ち割られ血まみれになるだろう」という表現を用いて猛反発するところに、その怒りの度合いが見て取れるのである。

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