40歳女性は「オトナ開始」の場所に舞い戻る 恵比寿、銀座、豊洲、代々木上原を経て三茶へ

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

37歳で別居して代々木上原に引っ越すきっかけとなったのは、『enboca』でした。今の彼が、不謹慎にも、別居祝いをしてくれました。あの夜の、悲しいんだけど、温かい感じは今でも覚えています。泣いたり笑ったり色々なドラマがあったけど、今思えば、そのどれもが無駄じゃなかったって思えますね。

この世をば、我が世とぞ思う、20代30代の女たち

女性にとっての20代、30代って、本当にうっとりするくらい素敵ですよね。大好きな、ジェーン・スーさんも言っています。金銭的にも時間的にも若干の余裕が出てきて、まるで竜宮城。天女の舞を見ているうちに7~8年なんてあっという間に過ぎる。楽しすぎて気付けば浦島太郎だ、と。

この世をば、我が世とぞ思う、って言葉がぴったりです。私も正直、恵比寿、銀座に住んでた頃、楽しくて、未来は必ず今よりよくなるって信じて疑わなかったんです。

皺もシミもない透明感のある顔、重力に負けないぴんと張り詰めた肌、艶かしい首、ほっそりとして柔らかい二の腕。若さの片鱗を体にまぶして、嬉々として歩いている若い女性たち。若いというだけであらゆる可能性を手にしているんですよね。でも、ほぼ例外なく老いによってすべてを失うことになります。気づけば、40歳。若さを失ったとき、私たちに何が残るのでしょう?  女としての価値を、若さで水増しし何倍にも見せるようなことはできません。ピカピカに光って何でも来いのスーパーマリオのスター状態はもう終わったんです。

ここからは奇跡なんて起こらないし、奇跡を信じれるほど幼稚でもない。40代は、投げ出すことも、方向転換も、後戻りすることも難しい。そして、そんな日常に埋もれ、いつの日か、己の限界を知るときが来るのでしょうね。自分に失望し、今日とよく似た明日が延々と続く未来に絶望し「自分の人生にもうドラマは起こらない」と悟るときが。

私が"何者"かになることを諦めない限り、この街はキラキラと輝き続ける

そのとき、東京は色を失い、私のドラマは、THE ENDを迎えます。でも、生きてる限り人生は線路のように続くんです。だったら、砂の中からたった一粒の砂金を見出すように、惰性に埋もれた中から未来への希望を見つけ出し、パン生地を伸ばすように1ミリずつでも地道によくすることを、私は、投げ出さないつもりです。

私が"何者"かになることを諦めない限り、この街は、上京したときに抱いた圧倒的憧景のまま、キラキラと輝き続けるはずですからね。

東京カレンダーの関連記事
37歳女性が住む街「代々木上原」。私はおばさんになったか?
34歳・女性が住む街「豊洲」。適齢期の女性がぶちあたる「知ってしまった不幸」と「知らない不幸」
31歳女性がするべき、銀座での"上質な"暮らし。大人の女の流儀とは?

 

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事