ウイスキーのことを知り尽くすための9冊 ブックディレクター、幅允孝氏がセレクト
知れば知るほど味わいを増す、ウイスキー
ひとり飲みもまた、ウイスキーの醍醐味。秋の夜長は、ブックディレクター、幅允孝氏セレクトのウイスキーが飲みたくなる本をお供にひとり酒なんていかが? ウイスキーは知れば知るほど味わいも増すはずだ。小説を始め、漫画や科学本に至るまで、奥深さゆえ多岐にわたるウイスキー文学に酔いしれられる9冊はこちら。
「竹鶴」を生んだニッカウヰスキー創業者、竹鶴政孝さんの伝記で、日本のウイスキー文化の一端を知るのに最適な一冊。
そのうえ、竹鶴さんの生涯の伴侶となるスコットランド人のリタさんとの恋愛模様がドラマティック。ラブストーリーとしても秀逸です。
講談社の『BLUE BACKS』は大好きな科学本シリーズ。
サントリーの中央研究所でウイスキーの貯蔵・熟成の研究をしていた農学博士による、ウイスキーの科学的な分析がマニアックで面白い。いまだわからない部分も多いというウイスキーの神秘性にそそられます。
ウイスキーは村上作品の重要モチーフということで、ド定番ですがやはりマスト。
アイラ島のウイスキーの成り立ちが、人との出会いを通じて感じた経験値としてつづられているのがいい。ちなみに表題の答えは、ズバリ敗北宣言。言葉を扱う家業にしてその潔さに感服。
自身のアルコール依存症との闘病生活をベースにした、究極の酒小説。
何でも酒になぞらえてしまうダメな人ばかり出てくるのに、なぜか憎めない。病にあってはすべての人があまねく公平で、人はなぜ酒を欲するのかという核心にぐんぐん迫っているところがいい。
僕の中で究極のウイスキー飲みだと思う尊敬すべき詩人、田村隆一氏の歳時記のような酔いどれエッセイ。
インド行きの機上でスコッチの小瓶を18本飲むほどつねにへべれけなんだけど、飲んで導き出せる神々しい言葉が彼にはあるんです。常人にはまねできませんが。