アンダーアーマーは「雑草魂」が支持された 「天賦の才」ではなく「ひたむきな努力」に焦点
1996年の創立以来、目まぐるしい成長を遂げているアンダーアーマーだが、起業時からの雑草魂は保ったままだ。これはブランドのポジショニングからも見ることができる。
最適な例は、ミスティー・コープランド氏をフィーチャンリングした「I will what I want(私は私のやりたいようにする)」キャンペーンだ。彼女は、75年に渡るアメリカン・バレー・シアターの歴史のなかで、黒人女性で初めてプリンシ パル・ダンサーになった人物である。
「すばらしい商品以上にブランドが掲げるメッセージは、自身の思いの強さを信じるということだ」と、独立系広告代理店のドローガ・ファイブ(Droga5)でアンダーアーマーを担当するアカウント役員のジュリアン・チーバーズ氏は話す。ドローガ・ファイブは国際広告祭「カンヌライオンズ」の独立系代理店部門を受賞。叩き上げの創業者のもとで急成長しているところは、アンダーアーマーと似ている。
「アンダーアーマーは、ほかの企業にない『アンダードッグスピリット(The Underdog Spirit:雑草魂)』をもっている」とチーバーズ氏は語る。「正直な若い意識と競争心は、両方とも誠実かつ力強い。私たちがアンダーアーマーのために広告を制作しているときは、それらを重要視し、収益につながるようにしている」。
この「アンダードッグ」というテーマはそのまま、米バスケットボールNBAのMVPであるステファン・カリー選手のキャンペーンにつながる。高校バスケットでも大学バスケットでも注目されなかったステファン・カリー氏が、NBAのMVPに輝くというストーリーを訴えた。その際に販売された同選手モデルの「アンダードッグ」バスケットシューズ(写真上)の売り上げが好調になるなど、このキャッチコピーはアンダーアーマーを象徴しているかのようだ。