タカタ、エアバッグ問題で招いた本当の危機 一時的な損失計上では済まない可能性も
「硝酸アンモニウムはフェードアウトするが、安全だと思っている」
NHTSAとの合意について説明した11月4日の会見でも、高田会長や品質保証担当の清水博取締役はこう繰り返した。
タカタは、インフレーターの調査を依頼した独研究機関から得た「硝アンは安全」というお墨付きを得ており、それを水戸黄門の印籠のように掲げている。
しかし、「真因がわからないのになぜ安全と言い切れるのか?」という極めてシンプルな問いにタカタは答えられていない。
直近でもエアバッグの爆発で負傷者
そして、エアバッグの爆発は直近でも発生し負傷者も出ている。この現実を無視したかのように「安全」を主張するタカタの姿勢に自動車メーカーは不信を募らせているのだ。
新車発表会や自動車の販売現場では、エアバッグがタカタ製かどうかの質問が出るようなり、本来黒子であるサプライヤーの名前が販売を左右する可能性が出てきた。
また、自動車メーカーは近年、「科学的に安全かどうか」だけではなく「消費者が安心を感じるか」を重視するようになっている。タカタが「硝アンの安全性」を繰り返すほどに「安心を軽視する会社」というイメージが強まっていく。
4日の会見で経営責任について問われた高田社長は、「(リコール問題は)一段落したわけではない。リプレースを継続してお客様に安全を提供することに注力するのが最大の責任」と述べた。
しかし、これまでのタカタの行動は、およそ消費者の安全を最優先しているようには見えない。自動車メーカーの信頼低下も招いている。
すぐに全タカタ製品を使わないわけにはいかないが、この先、なるべくならタカタ製品は使いたくないという空気は払拭しがたくなっている。これはタカタの存続を揺るがしかねない由々しき事態といえよう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら