VW、それでも日本でディーゼル車を売る理由 ブランド失墜でも引くワケにはいかない

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「ディーゼル車は必ず日本で発売する」

10月28日に東京ビッグサイトで開幕した東京モーターショーのプレスデー初日。ドイツの自動車最大手、フォルクスワーゲン(VW)の展示ブースには多くの報道陣が殺到した。9月に排ガス規制を逃れるためディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載していた問題が発覚。世界中の関心を集める中、ドイツ本社のナンバー2で、VW乗用車ブランドのヘルベルト・ディースCEO(最高経営責任者)が急遽来日し、会場に姿を現したからだ。

ディースCEOは詰めかけた報道陣を前に、日本でのディーゼル車投入計画を堅持すると強調した。今年7月に日本国内へガソリンエンジン車を先行投入したVWの新型「パサート」は、2015年内に日本で初めてとなるディーゼル車の追加が予定されていた。ところが、排ガス不正事件を受けて検討していたディーゼル版パサートのモーターショーへの出展は見送られ、導入時期も見直されることになった。

VWのディーゼル車、日本投入は2016年

今回の事件で、VWのブランドは失墜。特にディーゼル車に対してはネガティブなイメージが消費者に刷り込まれた。にもかかわらず、来日したディースCEOは「いつになるかは決まっていないが、2016年中に日本で発売する」と語った。VWはなぜそこまでディーゼルにこだわるのか。

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排ガス不正問題の発覚以降、VWの日本国内販売には大きな影響が出ている。事件発覚後、最初の週末だった9月24~27日は販売店への来場者数が前年同期比で約4割も減少。直近の10月24・25日の週末は同15%減と、一見影響は落ち着いたようにも見えるが、「新規顧客だけを見るとまだ3割減と厳しい状態が続いている」(VW日本法人広報)。発表はこれからだが、この10月の販売台数は前年同期比でほぼ半減したという観測も一部で報じられている。

もともとVWの日本国内販売は、例年になく苦戦していた。日本自動車輸入組合がまとめた2015年上半期(1~6月)の国内新規登録台数は、メルセデス・ベンツが3万2680台(前年同期比19%増)に対し、2000年からシェアトップに君臨してきたVWは2万9666台(同16%減)にとどまった。

これに排ガス不正事件を受けた客離れが加わった。このままいけば2015年通年では、VWが16年ぶりにトップの座をベンツに明け渡してしまう公算が大きくなっている。

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