タカタ、エアバッグ問題で招いた本当の危機 一時的な損失計上では済まない可能性も

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会見で高田社長は、安全性に問題はないと繰り返した

タカタは11月3日、米運輸省・道路交通安全局(NHTSA)と硝酸アンモニウム(硝アン)を使ったインフレーター(ガス発生装置)の製造を段階的に中止することで合意したと発表。具体的には、硝アンの新規契約は行わず、既存契約についても2018年末までに一部例外を除き、すべての硝アンのインフレーターを供給もやめる。この合意は米国のみに適用されるが、世界的にこの方針を推し進めていく。

そのため、国内自動車メーカー側からも対応する動きが表面化。11月4日、主要顧客であるホンダが、タカタ製エアバッグインフレーターの採用を中止する方針を発表。タカタの中間決算発表の2時間前に、トヨタ自動車が 「硝酸アンモニウム(硝アン)を使ったタカタ製エアバッグインフレーター(ガス発生装置)は今後使用しない」(豊田章男社長)と表明するなど、各自動車メーカーが同様の方針を示している。

これまでのところ、ほとんどの会社が採用停止を明確に打ち出しているのは、タカタ製エアバッグ用の硝アンを使ったインフレーターに限定されている。硝アンに限らず、タカタ製インフレーターの不使用を明言しているのはホンダのみ。それでも顧客の“タカタ外し”がインフレーターのみにとどまれば、打撃ではあっても致命傷にはならない。

タカタ外しが他製品まで波及するか

インフレーターはエアバッグのシステムを構成する一部品に過ぎず、現状でもタカタ製エアバッグの約3割には他社製インフレーターが使用されている。それが全て他社製に切り替わっても内製コストが購入コストに置き換わるだけで、タカタにとっての利益の減少分はしれている。当該部門のリストラや減損は必要になるが、吸収できないほどのマイナスインパクトではない。

 今後の焦点は、タカタ外しが、エアバッグ全体、さらにシートベルトなど他製品まで波及するかどうかだ。

短期的にはこのリスクは小さい。自動車ビジネスは数年先のモデルまで主力部品が確定している。インフレーターを乗り換えるのとは違って、エアバッグのような安全性に直結したシステム部品の主力サプライヤーの切り替えは簡単ではない。ましてタカタはエアバッグの世界シェア2割を占める。全社が一斉にタカタから乗り換えようとしても、業界全体で十分な供給能力がない。

このため、ほとんどの自動車メーカーは、インフレーターのみ他社製に切り替えるだけで、当面はタカタ製エアバッグを使い続けることになるはずだ。

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