「この給料泥棒が!」部下を罵倒し続けた38歳パワハラ上司が"社会的に"抹殺された恐怖の復讐劇 『子供部屋同盟』1章①
そして翻訳された日本語の中に「報復」「復讐」「殺人」という単語を見つけてぎょっとした。
料金は五万ドルから二十万ドル、支払いは仮想通貨のファクトム。相手の住所、氏名、顔写真を送れば速やかに殺人は実行されるという。
ダークウェブはテロリストやアングラ犯罪集団の活動の場にもなっていると、あの友人は言っていた。
ファクトムで二十万ドルを支払えば、おそらく本当に殺人は実行されるのだ。
太一はネクタイを緩めて、ワイシャツのボタンを三つほど外す。
ここは深海だ。燦々(さんさん)と太陽の光が差す小島のビーチじゃない。
日の光の届かない、暗闇の領域なのだ。
そうこうしているうちにウイルスでも踏んだのか、ウインドウがいくつも勝手に開いていく。慌てて×ボタンを押して画面を閉じていくが、途中で日本語のサイトを見つけて右手を止めた。
子供部屋同盟
そのトップページは、一見してレトロゲームのオープニング画面のような作りだった。サイト名の下には「Revenge Agency System」と小さく記されている。“復讐代行組織”とでも訳せばいいのだろうか。だとしたら、あのロシアのサイトのように、復讐を請け負っているのだろうか。
“復讐代行組織”子供部屋同盟
「スタート」ボタンをクリックすると、太一には自動的にL38番というユーザー名が与えられた。パスワードの設定後に、サイト内へと入る。
次のページには、首領、諜報部、実務部、化学部、工作部、IT部、法務部、監査部、通信部とリンクが並んでいる。クリックできるリンクは通信部だけだ。通信部へ入ると、カスタマーサポートでよく見るようなチャット画面が現れた。
──ハロー、ハウロウ、こちら通信部のジョン・万次郎。



















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