「この給料泥棒が!」部下を罵倒し続けた38歳パワハラ上司が"社会的に"抹殺された恐怖の復讐劇 『子供部屋同盟』1章①
背後から鈍器で頭をかち割る──、かつてはそんな野蛮な妄想をしたこともある。
でも今の自分には、もうそれを実行できるだけの力はない。何より自分の手で殺すことは、やはり恐ろしい。西野は空手の有段者でもあるし、反撃されれば返り討ちに遭うかもしれない。
じゃあ毒殺はどうだろう──、昼食の買い出しへ行かされたさい、西野のカレーライス弁当に毒を盛る。毒を盛るのは俺だが、西野は奴のいうところの“指示待ちではない能動的行為”によって、毒入り弁当を食うのだ。
これなら今の自分にもできるかもしれない。そして毒薬が購入できるサイトを、太一は大学生のころに見たことがあった。
大学生のころ、太一のパソコンに友人がDLしたのは…
ある晩、ゼミの飲み会後に、一人の友人が酔い覚ましをしたいなどと言って、太一のアパートの部屋に立ち寄った。太一のノートパソコンを使って、ネットニュースやらユーチューブやらアダルトサイトやらを見たのちに、友人は言った。
「俺たちが普段見ているインターネットは、インターネットの表面だけなんだぜ」
彼は太一のノートパソコンに、あるソフトウェアをDLした。簡単な設定後、デスクトップには妙なアイコンが現れた。紫色の円の中に、白い線が何本も重層的に描かれたアイコンだった。
「なんだか紫色のたまねぎみたいだな」
「鋭いじゃないか、実際にたまねぎみたいな通信技術さ」
友人はその紫色のたまねぎをクリックする。
「インターネットは三つの階層に分かれているんだ。例えば海に小さな島があるとするだろ。俺たちが普段使ってるグーグルとかヤフーとかは、その小さな島さ。通称、サーフェスウェブって呼ばれている」
友人が接続ボタンをクリックすると、おそらくは通信準備が始まった。



















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