「この給料泥棒が!」部下を罵倒し続けた38歳パワハラ上司が"社会的に"抹殺された恐怖の復讐劇 『子供部屋同盟』1章①

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「海に潜って五百メートルあたりまでは、通称ディープウェブ。一般的な検索では辿り着けないウェブ領域さ。こう言うとディープウェブは自分と関係ない領域だと思うかもしれない。でも普段から、俺たちはディープウェブを使ってるんだぜ。フェイスブックやツイッターは非公開にもできるだろう。アマゾンや楽天のマイページは他人が見ることはできないだろう。あれがディープウェブさ」

太一はふと、画面の英文の中に「Tor Network」という馴染みのない単語を見つける。

「ディープウェブよりさらに深い場所、海で言えば深海に、検索結果にはまったく現れない、たまねぎの皮みたいに何重にも暗号化された暗闇の領域、ダークウェブが存在する。完全に秘匿化されたウェブ領域で、だからありとあらゆる違法取引の場になっている。でも犯罪利用されるばかりじゃないぜ。匿名だからこそ、ときに有益な情報が流れることもある。例えば内部リークされた国家機密とかね」

ダークウェブの存在

そんな都市伝説のようなウェブ領域が実在するとは思えなかった。画面には紫色のウインドウが立ち上がっている。いくつかのリンクをクリックしたのちに現れた“闇市場”なる掲示板を見て、太一は目を疑った。

5ちゃんねるを初めて見たとき、ここは無法地帯かと眉をひそめたものだが、闇市場は次元が違う。銃器、麻薬、偽造パスポート、偽造免許証といった、ありとあらゆる違法な物品が、仮想通貨やテレグラムを用いて平然と取引されていた。

その後、太一たちは別のリンクを辿り、数本の違法なアダルト動画を落とした。

「ま、あんまり深入りしなけりゃ、けっこう便利なもんだぜ」

そう言って、友人はブラウザを閉じた。無料で無修正のアダルト動画を見られるのはありがたいが、太一はダークウェブに得体の知れない不気味さを覚え、アイコンをフォルダの下層へ移動させた。

以後、ダークウェブに接続することはなかった。

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