「この給料泥棒が!」部下を罵倒し続けた38歳パワハラ上司が"社会的に"抹殺された恐怖の復讐劇 『子供部屋同盟』1章①

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ジョン・万次郎? 彼が受付係ということだろうか? 太一は戸惑いつつも、チャット画面に言葉を打ち込んでいく。

──こちらのサイトでは、復讐を請け負っているのですか?

──もちろん請け負っております。

やはりそうだ。あのロシアの復讐サイトの日本版だ。太一は最も気になっていることを、最初に訊いた。

──料金はどれくらいになるのでしょう?

──我々は依頼の対価に、金銭は要求しておりません。

──と、言いますと?

──我々は対価として、あなたの動機を要求します。あなたが対象に復讐しようと思った経緯を、レポートにまとめて提出してください。そのレポートを我々が拝読し、一定の基準を満たした場合、速やかに復讐を代行いたします。

「動機」を対価に復讐を遂行する組織

動機を対価にする? 基準を満たしたら復讐を代行する? 俺はからかわれているんだろうか。キーボードをタイプする太一の手は止まる。しかし二十万ドルを支払って音信不通になれば大損害だが、レポートを提出するだけならば、たいしたリスクはない。

──基準を満たした場合、本当に復讐は実行されるのですか? それはあなたが行なうのですか?

──いいえ、わたくしはしがない通信部のジョン・万次郎です。審査を通過した場合、他のどこかの部署が執行を請け負うことになるでしょう。

──ちなみにどのようなレポートを書けば基準を満たせるのでしょう? 私は文章を書くことがあまり得意ではないのですが……。

──履歴書に、志望動機を書く欄がありますね。あれが一番いけません。失礼ですが、L38番さんはお仕事をされていますか?

──はい、どこにでもいる普通の会社員です。

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