「この給料泥棒が!」部下を罵倒し続けた38歳パワハラ上司が"社会的に"抹殺された恐怖の復讐劇 『子供部屋同盟』1章①
──あの紫色のたまねぎアイコンは、未(いま)だフォルダのどこかに残っているはずだ。闇市場ならば、毒薬の売買も行なわれているに違いない。
太一は会社からの帰宅途中、駅構内のホームのベンチで懊悩(おうのう)するうちに、ふと思い立ったのだ。
帰宅した太一は、スーツの上着だけハンガーに掛けると、居間のローテーブルの前に座る。自宅は所沢の外れの築二十年のアパートだ。大学時代から、もう長いこと住んでいる。入社三年目の給与を考えれば分相応だろう。
「紫色のたまねぎのようなアイコン」を─
ビジネスバッグからノートパソコンを取り出し、さっそくHDD内の探索を始める。フォルダの下層には、やはり未だあのアイコンが残っていた。紫色のたまねぎのようなアイコン──、おそるおそるそのたまねぎにカーソルを合わせて、ダブルクリックをする。
接続したはいいが、あの友人の助けもなしにどうやって闇市場へ辿り着けばいいのか分からない。いくつかリンクをクリックしてみるも、表示されるのは外国語の意味不明なサイトばかりだ。
検索の仕方もまるで分からないし、そもそも日本語の検索サイトなど存在しないのかもしれない。怪しげなリンク集を辿るうちに、太一はどうにかロシア語の市場へと辿り着いた。
グーグル翻訳を活用して、市場で売買されている品物を調べる。トカレフ、マカロフ、AK74自動小銃、SKSカービン銃──、驚いたことに、対戦車用のロケットランチャーまで取引されている。



















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