実現が見えてきた?「江戸城天守再建」プロジェクトの全貌「3つの魅力」は?「3つの懸念」に対する回答は?
実は現在、木造巨大建築物への常識は足元で大きく変わりつつある。制度改正や技術革新により、一般の木造建築物でも性能を証明すれば3階以上でも建築を許可する方向へと舵がきられており、2025年以降は50mを超える木造ビルの建築が日本でも相次ぐ予定である。
また、愛媛県の大洲城のように歴史的復元や文化的価値を前提とする「適用除外」「特例措置」がなされる例もある。
ただし、江戸の大火事で焼失した江戸城の再建では、安全性や防火性などについての万全が強く求められるだろう。
江戸城天守から御所までは、豊かな森に挟まれて650mの距離がある。近隣の丸の内、大手町では2000年以降、40階を超える高層ビルの建築が進み、御所の安全性確保には様々な前例が蓄積されてきたように思う。
しかも、天守再建の計画においては、江戸当時の慣習にならい、西の丸と本丸の御殿があった西側と南側の窓は閉鎖され、御所が見下ろされることはないとしている。
また、御所にも近い江戸城の北の丸に立つ日本武道館は、1949年に宮内庁の敷地が厚生省(当時)に移転されて「国民公園」とされた土地に建設された。このような文化的活用の流れの中で、江戸城再建も十分に対話と調整の余地があると思われる。
順調に行けば、2040年頃に江戸城天守再建へ
江戸城天守再建に向けた、今後のタイムスケジュールを見てみよう。
まず請願署名30万人を集める計画だ。これは、1964年の東京オリンピックに向けた首都高速工事で失われた「日本橋」の空を取り戻す、首都高速地下化のために集められた署名の数である。日本橋上空の首都高は、2040年の撤去完了に向けて地下化の工事が進んでいる。
続いて、勉強会で広く意見を募り、具体的な計画を固めた後は、財団法人が設立され、資金調達から建設へと進む流れとなっている。
順調にいけば、日本橋首都高速改修終了と同じタイミングの40年頃には江戸城天守を見ることができるだろう。
いつの時代においても、人々の意思で未来は創られていく。そして新しい挑戦こそが明るい未来を作る。確かに、江戸城天守再建が生み出すのは金銭的価値だけではないだろう。日本の誇り、文化的アイデンティティ、教育・学習機会を提供する、未来を担う世代への文化の贈り物ともいえるかもしれない。
歴史の想起、文化の継承、寄付や財団の利用、無形なる資産の未来への創出。非常に楽しみな構想であり、私個人としてもこのプロジェクトを応援したいと思わされるのである。
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