実現が見えてきた?「江戸城天守再建」プロジェクトの全貌「3つの魅力」は?「3つの懸念」に対する回答は?

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江戸城は、徳川幕府が発足してから50年ほどが過ぎた1657年、江戸の街の大半が焼けた江戸時代最大の大火事「明暦の大火」により焼失している。当時は4代将軍徳川家綱の治世下、城よりも民の生活が優先され、御殿ではない天守の再建は「当分の間は延期」と決定された。

その後、天守の土台となる石垣部分(天守台)までは再建されたものの、幕府の財政難と木材不足により上物の天守の建築は進まず。城の建築は、現代の古建築の研究者によれば「土台7割、上物3割」と言われているという。つまり、再建は7割のところで止まったことになる。

加藤航介氏(写真:WealthPark研究所撮影)

焼失から350年でついに動き出す天守再建計画

それから200年が経ち、大政奉還がなされて時代は江戸から明治に移る。徳川幕府のシンボルである江戸城の再建が世論となることはなく、むしろ日本で多くの城が取り壊された。第2次大戦後は、日本軍の屈強さを支えた武士道のシンボルとも言える城の再建を、GHQが許すはずもなかっただろう。

天守再建の機運が高まったのは、焼失から約350年を経た平成に入ってからである。財界人を中心に「江戸城再建を目指す会」(のちに「江戸城天守を再建する会」と改称)が発足、特定NPO法人となって、歴史の整理や築城への調査が進められた。

幸いにも、天守は当時の設計図が現存しており、また現在の天守台の上に建築することが可能であることがわかって、その総工費や経済効果などが試算されていく。さらに2010年以降は、観光立国の掛け声の下でインバウンドという新たな一大産業が生まれ、事業の収益性見通しが大きく向上していく。

近年では、世論喚起を目的とした一般社団法人IKIZAMAが設立され、25年12月には「江戸城天守再建築城シンポジウム2025」も実施される。LINEヤフー会長の川邊健太郎氏、ベネッセホールディングス会長の福武英明氏、元スクウェア・エニックス米国法人社長の岡田大士郎氏、そして実業家のホリエモンこと堀江貴文氏など、経済界を巻き込んだダイナミックなイベントだ。

では、25年の令和の今日において、江戸城天守を再建する魅力はどこにあるのだろうか。

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