実現が見えてきた?「江戸城天守再建」プロジェクトの全貌「3つの魅力」は?「3つの懸念」に対する回答は?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

江戸城の収益は、日本の文化や伝統工芸などの技術の継承や、日本各地の城郭修復や木造再建など、歴史的な建築物を再建築する費用に充てるという構想もある。

江戸城を皮切りに、例えば安土城、八王子城が建てられ、数十年もすると歴史の教科書にある城が日本各地に勢ぞろいする近未来が描ける。こうなると、古城が観光資源となっている世界的な観光地、ドイツのロマンティック街道どころではないのかもしれない。

数字では表せない無形資産、歴史と伝統などのソフトパワーが力を持つ時代である。上海やドバイやシンガポールなど、近代的で人口的な街ももちろん魅力だが、日本には他国が真似できない歴史と伝統がある。江戸城再建の先には、そのような日本の魅力に世界中の人が触れ、日本の価値が大きく高まる未来を想像せざるをえない。

「本当に再建できる?」浮かぶ数々の疑問

一方で、江戸城天守再建に対する懸念の声もある。回答と共に整理してみよう。

【懸念①】現在のありのままの姿を維持するべきで、再建は歴史の軽視ではないか

一理ある意見に思える。

一方で、たとえば現在の大阪城天守は民意(大阪市民からの寄付)により、1931年に再建されている。空襲で焼失した名古屋城天守も59年に、小田原城天守も60年に再建された。

それぞれの城は再建の形はどうあれ、現在、各地のシンボルとして住民の誇りとなり、地元の経済を大きく支えている。城の再建は歴史を軽視しているのではなく、むしろ次世代を担う地域の子供らが地元の歴史を学ぶ機会を提供するなど、歴史の継承に大きく貢献しているようにも思う。

【懸念②】建築基準法に違反する

かつて、高さのある木造建築には厳しい制限が課されており、事実上、木造では3階までの建築しか認められていなかった。十数階のビルに相当する江戸城天守を、木造で建築することは本当に可能なのだろうか。

次ページ木造の巨大建築は許可されるのか?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事