ドラマ『ふてほど』『もしがく』描く"1980年代"はまったく違う? なのにどちらも「50代に刺さりまくる」ワケ
渋谷の八分坂という架空の街、特にWS劇場のストリップダンサーやスタッフに焦点を当て人間模様を描いているが、エロはほとんどない(ショーのシーンもあるが、猥雑さはまったく感じない)。
三谷が書きたいのはそこではなく、当時の「ハッタリも実力のうち」と言い切れるような情熱とパワーだからだ。公式サイトのイントロダクションにある、三谷のコメントを引用しよう。
あの頃は僕だけではなく、時代が、この国そのものが、パワーと明るさに充ち満ちていた。みんなで、足並みを揃えて坂を登っていくそんな空気が、80年代の日本には確実にあった。
あの時代そのものを描いてみようと思いました。誰もが夢に向かってがむしゃらに生きていたあの時代を。
『もしがく』が描く「少数派の80年代」
イントロダクションには、ほかに、当時のヒット曲として中森明菜の『十戒』、チェッカーズの『ギザギザハートの子守唄』などが紹介されている。ただ面白いかな、『もしがく』には、これらに興味のあった中心層の10代(ティーン)はほとんど出てこないのだ。いるとすればモギリの竹の子族・毛利里奈(福井夏)だが、彼女はストーリーに深く関係しない。
オープニングではヴァン・ヘイレンの『ジャンプ』が流れるし、郷ひろみの『2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-』や松田聖子の『青い珊瑚礁』がストリップショーでかかり、81年に開局されて話題になったアメリカのケーブルチャンネルMTVの影響を感じさせる、マイケル・ジャクソンの『スリラー』も出てくる。
が、あまり印象に残らない。
テレビ全盛期なのに、テレビを見るシーンも多くない。やっと出てきたと思ったら、堺正章演じるタレントが司会をする『3時のポニー』。スペシャルゲストは、明菜ちゃんでも聖子ちゃんでもなく、かまやつひろしなのである。



















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