不正融資問題のいわき信組、反社会的勢力に対し10億円支払い…「不正の口止め」名目で

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いわき信用組合の本部(福島県いわき市で)

いわき信用組合(福島県いわき市)が不正融資を繰り返して多額の資金を流用していた問題で、同信組の特別調査委員会は31日、調査報告書を公表し、流用した資金の一部計約10億円を不正の口止めなどの名目で反社会的勢力に支払っていたと明らかにした。金融庁は同日、反社会的勢力との取引を断ち切ることなどを求め、同信組に一部業務の停止を含む業務改善命令を出した。

報告書によると、同信組は1990年代以降、右翼団体の街宣活動を止めることなどを目的として、組合内部から捻出した資金を反社会的勢力に提供してきた。

不正を主導した江尻次郎元会長が理事長に就任した2004年以降、江尻氏らが街宣活動の標的となり、同信組は右翼団体との仲介を申し出てきた人物に解決料名目で現金を提供。その後も、この人物などから「組合への街宣活動を抑え込むことができない」「組合関係者の不正を暴く」などと脅されるようになったという。

そのため、預金者らの名義を使って無断開設した口座経由の架空融資のほか、水増し融資で捻出した資金の一部を使用し、04~16年に計約10億円を支払っていた。このほか、19年以降、暴力団関係者とされる人物から紹介を受け、少なくとも9件の融資を実行していた。

同信組が設置した第三者委員会は5月、04年から約20年間で総額247億円の不正融資を行ったとする報告書を公表。うち最大10億円程度の使途が不明と指摘していた。特別調査委は、この使途不明金の大部分が反社会的勢力への支払いに充てられていたと認定。不正融資についても精査した結果、総額は第三者委が公表した額から32億円増え、約279億円だったとした。

不正融資問題を巡っては、東北財務局が5月にも、経営管理体制の確立などを求めて同信組に業務改善命令を出している。金融庁は今回、全役員や職員への研修の実施期間などとして11月17日~12月16日の1か月間、新規顧客への融資業務の停止を命じたほか、経営責任の明確化なども求めた。

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