"健全に射幸心を煽る"ゲーム「ローグライト」、人間の本性を暴く人気ジャンルの魅力とは?

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複雑怪奇なジャンル、ローグライト

『Megabonk』もローグライトのヒット作。大量の敵やボスを倒してレベルアップし、生き残るのを目指していく(画像:Steamより)

今回は説明をわかりやすくするために特定の作品をピックアップしたが、これ以外にもローグライトのヒット作はたくさんある。

たとえば『Vampire Survivors』を3Dグラフィックにしたかのようなゲーム『Megabonk』も売り上げ100万本を達成しており、このジャンル自体がかなり人気なことがわかる。今後もしばらくは人気が続くだろう。

さて、改めてローグライトについて説明しよう。これまで説明したようにジャンルの実態としては、「恒久的な育成要素」と「射幸心を煽る激しい演出」が重要となる。

ローグライトの祖先にあたる『ローグ』。古いゲームなのでグラフィックはかなり簡素である(画像:Steamより)

ただし、ローグライトの歴史をたどると『ローグ(Rouge)』というゲームに行き着く。『ローグ』はダンジョンを探索するRPGで、ランダムにマップ構造が変化したり、落ちているアイテムが変わるのが特徴である。また、死ぬとすべてを失う要素「パーマデス」(永久的な死)もポイントだ。

1980年にリリースされた『ローグ』はその後のゲーム業界に影響を与え、それに似たゲームのことを指し示す「ローグライク」というジャンルを生み出した。「風来のシレン」シリーズや『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』もローグライクといえる。

ただし、ローグライクはおもしろい一方で、死ぬとすべてを失うパーマデスを嫌がるプレイヤーも多かった。ゆえに、ローグライクの一部の要素だけを抽出したゲームが登場する。結果的に、それが「ローグライト」と呼ばれている。

ローグライトは「ローグライクの要素があるようなゲーム」というかなり大雑把なくくりとなる。ゆえにいろいろな派生作品が出てくるし、極端な話ランダム要素があればなんでもローグライトと呼べなくもない。あやしいジャンル名でもあるのだ。

ともあれ、ローグライトの一派として影響力があるのが、「恒久的な育成要素」と「射幸心を煽る激しい演出」であり、それをうまく打ち出したヒット作品はいまも人気なのである。

今回取り上げたローグライトは“健全に射幸心を煽る”ゲームとして優秀だ。プレイ内容自体はだいぶシンプルだが、それでもうまい構造によって脳に刺激を与えるのである。人間の性(さが)を知ることができる遊びといえよう。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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